屋外のプール。太陽と雲と空が水に反射されて目に飛び込んでくる。光が目を焦がし、他を向けばその光が目に残っている。パラソルの中に入って陽の光を遮断する。パラソルの外がとても眩しい。
ああ、夏だなぁ。
感覚的にそう思う。上半身裸の状態だから気持ち良いと感じるが、服を着ていたらとても暑いだろう。首から流れる汗が服の胸のあたりに染みて、ぴったりと肌につく。
清戸がプールに入ってくると言い出す。それに賛同した泉野と北条は清戸に着いて行く。
「他に誰か、プール行く人いる?」
「俺、パス。だるそう」
清戸は他の二人にも聞くが、他の二人ともパス。すると、北条が広路を無理やり引っ張っていく。
パラソルの中には俺と蕗見の二人きり。思えばここからであった。寝そべっていた俺の
「んだよ」
けど、俺の反応はあまり面白くなかったらしい。蕗見は少し
「面白くない」
「へー、そう。俺は面白いけど」
俺は彼女に背中を向けていた。そしたら、彼女は俺の読んでいたマンガを取り上げる。さすがに、そこまでされたら無視できない。俺は起き上がろうとした。
ゴンッ‼︎
頭が割れるかと思った。起き上がろうとしたら、蕗見の頭とぶつかってしまった。額が痛い。じんじんと痛みがくる。
「いってぇな」
俺は少し怒った顔で彼女を見た。その時の彼女の顔に俺は驚かされた。笑っているのである。意味がわからなかった。頭を強打したはずなのになんで笑っていられるのかが、全然わからなかった。
そしては彼女は笑いながらこう言ったのだ。
「えへへ、やっとこっち、向いてくれた」
意味がわからない。痛いのに、痛いのに、痛いのに、振り向いてくれただけで笑える蕗見という女の子が俺には理解できなかった。
多分、その時、俺にはもう一つわからないことができた。勉強ができて、今までわからないものなんてなかった俺が、わからないと思えた。
ただ、彼女の笑みは広路少し違った。
嬉しそう。
そう心にふと思えてしまった。
その日のプールはとても綺麗に感じられた。
やがて、夕方になり、俺たちはプールから出た。
「で、結局、門川はずっとパラソルの中にいたな。プールにも入らず。プールに来た意味がない!」
北条が俺の愚痴を本人の隣で言っている。この素晴らしい度胸をどうにかできないものだろうか?
「いや、疲れるじゃん」
「つーかーれーるー?そしたら、青春できないじゃないか!」
今日の北条はすごくしつこかった。多分、友達と呼べる存在と一緒に遊べたことが、よほど嬉しいのだろう。今までヤンキーだったから、こんな感じで遊べなかったのだろう。もちろん、友達とは俺を除いてだが。
青春。そんな言葉はつまらないものだと思っていた。どうせ、そんな言葉を口にしても、時は過ぎていずれ俺たちは学校から出て行く。そしたら、俺たちの交友はすぐに途絶えるだろう。どうせ人とはそういうものだ。
時が過ぎてもあっという間に感じるだけである。何も思い返すことなんてない。
青春なんて、
みんなの中で一人だけ、そう思っていた。
星はまだ輝くような時間ではない。