あれからも、俺たちは夏休みの間、ずっと皆んなで遊んでいた。清戸たちは毎回毎回俺を連れてきていた。だから、俺の顔は不機嫌そうだったし、つまらないと思っていた。けど、それはただの思い込みで、本当はすごく楽しかったのだ。
あの頃の俺は、感情を表に出すような人じゃなかった。みんなとは一つカベを
じゃぁ、今みんなの笑顔を見れて嬉しいかと言われれば、素直に「うん」と答えられない。確かに嬉しい。嬉しいのだけれど、その笑顔を見ると前のことを思い出してしまうのだ。
それは多分、俺だけなのかもしれない。みんなは普通に楽しんでいるし、それはそれでいいんだ。
ただ、やっぱりみんな、何処か吐き捨てられない黒い何かを持っていて、それが
俺たちはただただ無言で山を登る。その空気は誰もが辛いと感じる。何も話さないで、微妙な空気が俺たちの間に流れる。何を話していいのかがわからないのである。それに、話そうとしても話を切り出せない。なぜだろうか?でも、言い出そうとしようとしても、口が思うように動かないのである。麻痺したように、唇が震える。で、結局何も話せなくなってみんな下を向く。
歩くだけ。石と紅葉を踏んだ時の音だけが流れる。冬に近づくにつれて、空気が乾いてくる。乾いた空気が、音を通す。
自然と息が切れる。あまり運動をしていない俺にとって、山登りは苦痛でしかない。
それでも、俺の足は止まらない。
みんなが登るから?いや、違う。先に行けば、きっと綺麗な景色が見れると信じているからだ。あの頃の夏は俺には眩しすぎた。だから、夕方ぐらいの景色の方が綺麗なんじゃないか?そういう浅はかな考えしか持っていない。
すると、先頭を歩いていた清戸が止まった。
「おい、清戸。どうした?」
俺がそう聞いても清戸は何も返さない。無視されたのかと思ってしまう。
「おい、清……」
「キレイ……だな」
清戸は何かに見とれている。俺たちは最後の階段を登る。
景色が見えた。夕日が遠くの山の奥に隠れようとしている。赤い空に所々に光る町。
段々と暗くなる。遠くに見える日が段々と隠れていく。それに
そして、日が完全に隠れた。空はもう夜である。町の光が太陽のように明るい。屋台の掛け声、人混み。平日なのに、結構いるじゃないか。
蕗見が後ろを振り返ってみた。そしたら、彼女は「わぁ」と感嘆とした声を上げる。その声につられて俺たちも後ろを振り向いた。
今まで歩いてきた道がライトアップされていた。黄色い葉が輝いて見える。それが、道一面に並んでいる。
後ろを振り向いたら、美しいものであったと感じた。通っているときは何も感じなかったが、今、振り向いてみるとそこはとても美しいものであった。