昨日、忘れてましたね。やらかしました……。すいません。もしかしたら明日、更新できないかもです。
単独行動、清戸がみんなにそう言った。けど、それは多分俺に対して言ったことだと思う。一人で決めろ。そう言われているように思える。
いつまでもみんなに頼っていてはいけないんだ。いつまでもみんなに頼って、この楽しい仲に頼ってしまったら二人には悪い。何が正解なのかはわからないし、正解は何個もある。いや、というより俺の選ぶものは全部正解。で、全部間違えなんだ。
何を選ぶにも誰かは悲しい思いをしてしまう。それが誰かはわからない。蕗見かもしれないし、広路かもしれない。もしかしたら俺かもしれない。
わかんない。何を選べばいいのか、俺にはわからない。だから探してた。一番いい方法は何か、どうすれば誰も傷つかないですむのかを考えてた。
考えてた……?いや、もしかしたら、考えていなかったのかもしれない。GHBで、みんなで楽しんでいて、大事なことには目もくれなかった。そうかもしれない。GHBっていうはもしかしたら、俺の口実なのかも……。
星が出てくるにはまだ早い。遠くの山に隠れた日の光はもうどこにも見えなくなっている。かといって、月もそう強い光を放たない。
「ねぇ、春ちゃん……」
俺を呼んだのは広路だった。近くのベンチに座って月を見ている。まだ、月はそんなに光っていない。日が落ちてから、まだそんなに経ってないからだろうか?
欠けた薄っすらの月が俺たちを見ている。
「GHBのみんなが心配?」
「は?あいつらが?全っ然、むしろ『部長』っていう枷がなくて
俺がそう余裕に言うと、広路は笑った。俺を見て笑った。広路が人のことを見て笑うのは珍しい。というより、三年間一緒の俺でも見たことはないかも。
「春ちゃん、嘘、ついてる……ブフッ‼︎」
「は?嘘?ついてねぇよ」
広路は上を指さした。空、空である。空に指を向けた。
「春ちゃんってさ、嘘をつく時、胸を張って上を見る……。いつも、いつもそうだ」
「……それこそ嘘だろ……。偶然かも……しれねぇじゃん」
「違うよ。だって、私、誰よりもずっと近くで春ちゃんを見てきたんだから。三年間、ずっと近くにいたから……。それくらい、わかるよ……」
「んなこったぁ、知ってるっつーの」
俺だってわかるさ。お前が自分から人を呼ぶ時は、言いたいことがある時か隠し事か。広路が一番近くで俺を見てきたっていうならさ、お前を一番近くで見てきたのは俺なんだ。
六人が決別した時もお前は俺についてきてくれた。一人にしてほしかった俺に、お前はずっとついてきた。
「ありがとう……」
心からの言葉であった。嘘、偽りのない言葉。相手の目を見て言った。
初めてである。心からの感謝の気持ちを誰かに伝えるのは。こんなにも心が熱く思えてくるなんて。感謝してるのは俺なのに、なんで俺が嬉しく思えるのか?それが疑問でならない。
ただ、想いが
「やめてよ……」
「え?」
「やめてよ!」
広路は強く俺に反発した。下を向き、手は握りこぶしである。ただ、彼女は俺を拒絶しようとしていたのがわかった。
「何で、そう私に話しかけてくるの?何で私に優しくするの?何で私に手を伸ばしてくれるの?何で私なんかと一緒にいるの?ねぇ、何で?」
いつもは声の小さい広路の大声は初めてであった。聞いたことのないほどの大きな声。必死、そう感じられたのだった。
「何で春ちゃんはいつも私を振り向かせるの?春ちゃんは、春ちゃんは……蕗見さんと一緒にいた方がいいのに……。蕗見さんは私より、可愛いし、優しいし、肌も綺麗だし、人気者だし、それに……春ちゃんの彼女だし……」
「彼女じゃねぇよ……。それは……前の話だ」
「知ってる!知ってるよ、そんなの。でも、そう思わないと、私が苦しい……。せっかく、春ちゃんに『蕗見さんと付き合って』って言おうとしたのに……」
「お前、それは……」
「だって、楽になりたいんだ。もう、フラれて心の中の重しをなくそうと思ったのに。でも、あんなこと言われたら……好きになっちゃうよ」
広路は俺の胸ぐらを掴んだ。掴んで、俺に顔を見せてきた。泣いていた。涙が頬にボロボロと溢れている。
「好きになっちゃう……諦めようと思ったのに。二人を見守ろうって思ったのに。なのに、もっともっと好きになって、もっと私を辛くする!春ちゃんが、私の胸をいつも強く掴んで離さない、それが辛い……すごく辛いんだ……」
俺は何も言えなかった。色々と突然すぎて俺には全てを理解することなんてできなかった。ただ、広路が泣いていた、それが俺の心に深く突き刺さるのである。
いじめにあっても泣かない広路が泣いた。どれだけ辛いのか、それを俺がしてしまった。そう、心の中で自分を咎とがめてしまった。
月はまだ明るくない。満月ほどではないが、上弦の月である。ただ、月は俺らを薄っすらと照らす。