帰り道は歩いていた。紅葉が綺麗な山を下り、暗い道をみんなで帰る。田舎の方だから、道沿いにある街灯と街灯の間隔が広い。街灯の照らす地面を踏んで、先に進む。
俺たち六人は最初、無言であった。なぜ、みんなが無言であったのか、その時の俺はわからなかった。後々、分かる事だが、広路が俺に物を言っていた時、蕗見を除いた三人は俺たちのことをずっと監視していたのだという。木に隠れて、俺たちのことをずっと見ていた。
だから、三人は話さない。俺と広路の重苦しい空気を知っているから静かになってしまう。すると、残された蕗見も黙ってしまう。なぜ、みんな黙っているのかが、わからなかったが、俺たち二人が原因なのは自然と理解できた。
何とかしてこの空気を打開しようと試みた。けど、やっぱり俺には何もできなかった。
人の心を知らず、他者のことを考えず、時を計ることも出来ず、ただただまっすぐにしか歩くことのできない俺には何もできなかった。
どうしようか考えていたが、結局タイムオーバー。旅館に着いてしまった。ほぼ無言で男女、部屋に分かれる。
部屋に戻って、荷物を置いた。それでもまだ体が重く感じる。
そんな俺を見た清戸は俺に向かって全力で枕を投げた。投げられた枕はどストレートに俺の顔面に当たった。
「何、意気消沈してんの?」
「いや、そのさ……広路に……」
「言わなくても知ってる。見てたから」
「え?見てたって……」
清戸と泉野は肩を組んで、笑顔で俺にピースをする。ブサイクな笑顔である。けど、そんな笑顔に少しだけ救われたような気がした。
「ガリレオちゃんってさ、地味に度胸ないよね……」
「は?」
「普通、あの場面だったら、広路ちゃん抱く
だろ」
「うん。抱く抱く」
「やめなさい、言い方がやらしいわ」
清戸は腕を開いて胸を見せる。そして、あたかも飛び込んでこいと言っているかのように、俺に身振り手振りする。なので、俺は全力で枕を清戸の顔面に返した。
「ありがとう、清戸。色々と悩み解消できたわ」
「そっか、じゃぁ、今度は俺の番だな」
すると、清戸は下に落ちていた枕を俺に投げた。が、それをキャッチして清戸に投げる。そう、これはお泊まりの恒例行事。
枕投げ。
「血祭りじゃぁぁ‼︎」
「くたばれぇぇ‼︎」
俺と清戸が枕投げをしていたら、
「あんたら、何してんの?」
半分キレ気味で俺たち二人に聞いてきた。
「ま……枕投げをしてました」
彼女の目つきが鋭く恐ろしい。やばい、これは殺される。
「お前たちは何してんだよ。はぁ……。とにかく、風呂!風呂入って来なさい」
「え?マジで?許してくれるの?」
「あぁ?黙ってさっさと行けよ!」
「……あ、はい」
「……あ、はい」