泉野は俺にこう聞いてきた。
「じゃぁ、結局、誰が好きなの?」
核心をつく一言。だから簡単に答えられない。なんだかんだ言って、泉野に言ったこと全てが、嘘だから。
辛い現実から目をそらすため、二人を選んで悲しませないため。だから俺は六人の仲という都合のいい言葉を使って、現実から逃げてきた。
GHB、現実逃避したい人の部活。俺はもうすぐ引退の身である。ずっと、現実から目を
湯に浸かりながら、そんなことを考えた。もう、二人とものぼせそうだったから、答えを言わずに風呂から出た。
泉野はもう何も聞かなかった。もう俺の行動には何も言わないし、ただ見ているだけである。
途中、そこらへんに放っておいた清戸を回収して部屋に戻る。タオルなどの荷物を置いて、俺たちは女子部屋まで行く。インターホンを押したら、中から蕗見がひょこっと顔を出した。
「おい、飯行くぞ」
「は?まだ、七時だぞ?」
「いや、もう七時だから。っていうより、もうすぐ八時。もう行かないと遅くなる」
ということで、女子三人を無理やりにでも夕食に連れて行く。食事場所に行く。食事場所に着いて、俺たちはテーブルに座る。テーブルの上にはもう料理が並んでいた。
あられ鍋、ご飯、刺身、お味噌汁、その他
俺たちは
俺は肉を掴み、あられ鍋の中に入れる。それから、野菜を横に置く。下に置いてある固形燃料の火があられ鍋を熱する。ゆらゆらと揺れるその火は青く、そして赤い。
隣に座っていた蕗見のお盆を見てみると、一つの皿だけ残しているように見えた。お漬物である。きゅうりに、大根、ナスなどのお漬物が入った皿を少し避けている。
「おい、食わねえわのか?」
俺は箸でその皿を指した。蕗見は嫌そうな顔をしているので、俺はそのお漬物をもらうことにした。
そしたら、その一部始終を見ていた泉野がヒジで俺に攻撃を仕掛けてきた。そして、俺の耳元で俺以外の人には聞こえないような小言でこう呟く。
「そこは、もらうんじゃなくて、アーンでしょ!」
おいおい、マジかよ。と思いながらも、泉野が熱の入った目をしているので、それを断ることもできなかった。
「おい、蕗見、口を開けろ」
「濃厚なキスを頼む」
「わかった。濃厚な酵素を入れてやる」
俺は無理やり、蕗見の口にアーンをしてやる。箸できゅうりを掴み蕗見の口に向け、蕗見は両手でその箸を持つ腕を止める。
が、結局入れた。インした。蕗見はすぐさまにでも吐きそうな顔をして俺を見る。
「吐きそう」
「飲み込め」
さながらその絵は地獄絵図である。
肉が焼ける音がした。