「えっ?僕が電話している隣でそんなことが起きていたなんて」
「お前は俺の後輩にSOSを出してんじゃねぇよ」
「……面目ない」
泉野を正座で座らせて、お説教タイムである。寒い晩秋の、冬に似た寒さが泉野を襲う。体温を奪い、ガタガタと顎が震えている。
「で、さ、何で僕、こんな薄着なの?こんなのジェントルマンじゃないよ」
「後輩に助けてもらおうって考えをしてる時点でジェントルマンじゃない。よって、ジェントルマンじゃないお前にはこういうことをしても良い」
「……くっ‼︎はかったな‼︎柚子木くんと二人で僕を
「いや、お前の電話の声が聞こえたのはこの風の音以外に何も聞こえなかったからだ。雑音があまりにもなかったからな」
俺は泉野の目の前に足を組んで座る。ふんぞり返って、堂々と、いかにも悪徳商法で儲かってる社長さんがやってそうな座り方で泉野を見下す。泉野は腕をクロスさせて胸につける。
「で、俺の後輩に何を流した?」
「えっ?いや、それは……門川くんがガツガツ行かないから、二人は困ってるって」
うっわぁ〜。何も言い返せねぇー。なんだかんだ言って、図星だし、今さっき蕗見に振られてたけど、嫌いっていう理由での嫌いじゃないし。
というより、広路も蕗見も自ら遠慮しているからなぁ。相手のこと考えて、俺のこと考えて、自分を謙遜して、だからこうなってしまう。
俺がそんなことを考えていたら、泉野はじろっと俺を睨む。
「ねぇ、今、告ってくれないかなぁって考えてたでしょ?」
「えっ?何でわかるんだよ」
「いや、わかるも何もガリレオちゃんは草食過ぎるんだよ。相手が何かするまで待つのがいけないんだよ」
「お前は清戸みたいにガリレオちゃんって言うな!」
そう、泉野に怒るけれど、頭の中は別にそんなことどうでもよかった。二人に振られてすごいショックだから。だから、俺はどうすればいいのかを必死に考える。もちろん、そのためには広路か蕗見の二人ともなんて欲張りな選択肢は
「で、どっちを選ぶんだい?広路さんか、蕗見さんか。どっちを君が選んでもあまり変わりはないとは思うよ。だって二人とも覚悟して振ったんでしょ?それに、互いにガリレオちゃんを振ったことなんて知らない」
「けど……」
「そう。けど、覚悟したって言っても彼女たちは乙女だから。僕たち男にはわからない感情が吹き出すだろうさ。それは、多分君をひどく傷つける。傷つけるつもりなんてないのに、それがかえって君にはとても大きな跡を残す」
じゃぁ、何て言えばいいんだ?二人を納得させて、二人とも悲しまないで、みんなで笑えるようにするには。
その日、俺はそんなすごい策を考えることなんてできなかった。そんな誰もがハッピーなすごい策なんて考え付くのは奇跡に等しい。
……
そう、心の中で思ってしまった。猫の手も借りたい。そんな状況である。