荷物をまとめて、部屋を出て、チェックアウトをする。旅館からバスに乗って、繁華街のところへと行く。目的地に着くと、バスを降りた。
人が賑わう通り。この時期には人が多く来る。観光業はこの街の重要な儲けとなる。そのため、この街の人はこの紅葉が散るためだけに活気づく。お土産屋、飲食店、地元名産の野菜とか果物とかを売るお店。ずらっと通りに並んでいる。
「おおぉ〜」
一同、驚いた。人の活気の良さは都会ではあまり見ることはできない。都会はぶっきらぼうに通り過ぎるけれど、ここはあるもの一つ一つに目を奪われてしまう。ただの置物。それでも、『旅行の時の』という言葉が入れば、その置物には思い出という名の過去が染み付いて、一生の宝物になることだってそう少なくはない。
旅行だから。思い出の
ただ、やはりこの旅行を嫌な思い出として残したくはない。だって、俺は……。
そっと彼女を見た。彼女の髪はふわっと風になびく。彼女は俺の視線に気づいたが、視線をずらした。避けられているかのようである。そりゃぁ、まぁ、昨日、振られたし……。
泉野と清戸は俺の肩をポンと叩いた。
「作戦、頑張れよ」
「期待してる」
二人は俺に向かってグーサインをする。作戦の成功を祈って、俺の背中を押した。
朝食を食べ終えて。だいたい一時間くらい前のことである。男三人組は朝食を食べると部屋へと戻り、まだ敷かれている布団の上にダイブする。
「ああ〜、もう動けねぇ〜」
「二度寝しようよ。少し眠くなってきたな」
俺と泉野が睡魔に打ち負けそうになっていたら、清戸が俺たちのことをビンタで起こす。力は入れていないんだろうが、ムチのように腕がしなってそれはそれで痛い。
「甘ったれんな!特にガリレオ!お前はまだちゃんとした告白もまだだろうが!」
「まぁ、そうだけど」
「さっさと決めろよ!さっさと告れよ!そんなんで男か?」
いや、無理だろ。決めるなんてそんなことできやしない。だって二人ともいい奴だし、それに二人とも好きだし……。ま、ましてや、告白なんてマジで無理。そんなん恥ずかしすぎて死にそうになる。
「まぁ、どうせ無理だろうし、勝手に作戦進めとくけど」
「ちょっと待てぇぇぇい!作戦って何?すごく嫌な予感しかしないんだけど!ってか、本人の承諾は?」
「は?いるわけねぇじゃん」
ですよねー。お前はそういうやつだと知っていたさ。知っていた……。
けど、本当にやるとは思わなかった!
「まぁ、お前が起きる前に、ずっと泉野と考えてたんだ。広路ちゃんor蕗見ちゃんイチコロ作戦」
何だ?その、いかにも失敗が目に見えている作戦は。せめてもっとちゃんとした作戦にしろよ!……まぁ、まだ名前しか聞いてないけど。
「まぁ、そうガミガミと言うな。俺たちは本気だ」
「でも、そんなんハッピーになんねぇよ。誰も」
俺の言った言葉は俺の本心だった。俺はみんながハッピーになるようになるようにと事を進めてきた。だから、こいつらには邪魔をされたくはない。
そしたら、マジで二人が笑えなくなる。
「別にいいじゃん。二人のことなんか考えなくったって」
「は?どういうことだよ」
「だって、お前の考えていることは全部、お前を犠牲にしてるからだ。そんなん誰も笑えねぇよ。バカ?二人が泣いてんのも、二人がお前の顔色を見てんのも全部お前のせいだよ。バーカ」
清戸はまた笑いながらそんなことを言うのだ。俺にはできないことをさらっとやってのける。俺はチキンだから。みんなの事しか考えてなかった。
「だから、もうお前の案はダメだ。俺の言う通りに動け。これがこの作戦を成功させる条件だ」