「俺たちは星だと思うか?でも、俺たちは星なんかじゃないんだよ。星は星、俺たちは俺たちだ。それ以外の何者でもない。分かるか?今のお前には『自分』が欠けてんだ。自分のことも大切にしてるっていうのは嘘だ。自分に暗示をかけて何になる?」
最後、清戸にそう言われた。自分のことは自分でわかっているつもりだったのに、自分ではない清戸にそれを言われてしまった。俺は広路と蕗見のことをわかっていないだけじゃなかった。自分自身のこともわかっていなかった。
そりゃ、もちろん他人である清戸に言われるのは嫌だけど、外からでしか見えないものもある。
広路も蕗見も何も間違えちゃいないんだ。俺が間違えていた。そう思えた。
でも……。
「けど、俺さ、やっぱ無理だわ」
「は?」
「わかったさ。わかってたさ。俺が間違えていたんだって。自分を犠牲にするから二人は嫌な顔をするんだって。けど、俺が犠牲になんないと、二人のどちらかが犠牲になっちゃうじゃん。そんなん、俺は死んでも嫌だね」
俺は頑固だから、今までやってたやり方が間違えてたって知ってても俺は変えたくないんだ。自分で決めたことだし、何より二人のどちらかが悲しい顔をするのが俺には何よりも苦しい。
俺だって笑いたい。けど、俺が二人の分まで笑っちゃうのは嫌なんだ。俺が笑う分を二人にあげたいんだ。
「じゃぁ、それで満足か?」
「……ああ」
俺のその返答は大方清戸の予想通りなのであろう。それでも悩んでいる。頭に手を置き、参ったという顔をする。
「まぁ、わかった。お前の言い分は理解した。でも、今回だけは俺の言う通りにしろ」
「は?なんでだよ」
「今回だけだ」
「何で俺はお前に指示されないといけないんだ」
「あのな、俺はお前を心配してんだよ。広路ちゃんでも蕗見ちゃんでもない。一番心配なのはお前なんだ。まったく何をしでかすかわからん」
「……」
何も言えなかった。清戸の言うことはもっともな話だった。清戸は俺のことを心配してるから、俺が犠牲にならないようにした。
それは俺の意志ではないけれど、二人は俺のことを考えてくれる。いい仲を持った。そう確信できた。
「……」
「……」
「……ハァッ、わかった。わかったよ。お前の言う通りにする。一度だけだからな」
「マジで?」
その時の清戸の目が妙にキラキラしていた。すごくそのキラキラとした目は、めんどくさそうなことの暗示である。
俺が承認するや否や、泉野はバックの中から書類を取り出した。
「こんなこともあろうかと用意しててよかったよ」
俺は泉野から書類をもらう。20ページくらいある、だった一時間くらいの作戦にしてはとてもとても暑いものである。俺はもらった書類をパラパラっとめくる。
「……おい、これってまさか……」
「うん。そうだよ。そうすれば女の子はイチコロさ」
泉野は自信満々にグーサインをしてくる。俺はそのグーサインに返答する余裕がなかった。
……マジでやんのか?これ。