今、俺は計画に沿って行動している。山を登って、自分の本当の気持ちを彼女に告白するのだと。
今まで本当の気持ちを彼女に言えなかった。意気地なしな俺だから、彼女には迷惑をかけてしまったのである。一年の頃から彼女には迷惑をかけてばかりで、俺はそんな彼女のことを気づくことができなかった。
だから言うよ。本当の気持ちを。
山を登り、街の景色を一望できるところに来た。街にいる人たちが蟻よりも小さく見える。上を見上げると、青い空にぐんと近づいたのが実感できた。
俺は後ろポケットにあるニセモノの指輪を手で触った。ニセモノのオモチャのダイヤモンドっぽい感触がする。俺はその指輪をポケットの奥へと押し込んだ。
彼女は俺の顔をチラチラと見るのである。そりゃまぁ、いきなり二人きりにされちゃったら色々と考えちゃうでしょ。
そう思いながら、俺は向かいの木の陰を見る。木の陰から清戸と泉野がひょっこりと顔を出して、俺の告白シーンを撮影しようとしているのだ。
そんな状況じゃ、俺だって言おうにも言えない状況なのである。もちろん、彼女からは見えないし察せられることはないだろう。まぁ、察せられても俺のせいではないのだが。
確か、計画通りに進めるとしたら、ここで彼女に告白の言葉を言って指輪を渡すんだけど、さすがにそんなにド直球な行動を俺ができるわけがない。
「そのさ、その……」
が、特に話すネタもないので微妙な空気だけを作って終わってしまう。自分で自分の首を絞めてしまった。
なんだか直接彼女の目を見ることができない。なんと言うか、すごく後ろめたい気がするのである。ここまで彼女には嫌な迷惑をかけてきた。けど、そればかりじゃない。だって今、俺は彼女に告白するんだから。
すまない。お前とは付き合えない。
そう彼女に俺は告白するんだ。
俺は泉野の計画を勝手に少しだけ変更した。もちろん、本人にはナイショである。それは愛を見せる告白でも、その人への愛が俺には足りないのだという告白。つまり、言ってしまえば、突き放すのである。
これだけは譲れなかった。今まで俺のことをこんなにも思ってくれたんだ。涙を流すほど俺を思ってくれた人に何も言わずに、他の人と付き合うなんて俺には無理な話である。
だって、ここまで気持ちを引きずらせたのは誰でもない俺である。なら、責任は俺にあるし、それに、やっぱりきっぱりと言わないとわだかまりができてしまう。
やっぱり、俺は六人の仲も壊したくない。だから、俺は踏ん切りをつけるんだ。 二人好きだなんて言っている俺自身が覚悟を決めないといけない。
そうじゃなきゃ、男として最低じゃね?
俺は彼女の目の前で頭を下げた。
「すまん。俺はお前に答えられそうもない。……すまん、蕗見」