今日、白浜は休みであった。なにやら今日は彼女にとって大事な日らしい。そう湯島から聞いた。湯島は白浜のことを前から知っていたから、俺たちよりかは彼女のことを知っている。
まぁ、湯島から教えてもらうのは電話越しである。まだ見舞いには一回しか行ってない。他のみんなはもう少しお見舞いに行っているそうだが。まぁ、よく電話で話してるし……いっか。
「おい、北瀬。よく、お前白浜の誕生日が近いって知ってたな」
「ん?ああ、だってさ、入学式の時、言ってたじゃん?」
「それを覚えていたのか?」
「そりゃ、当たり前でしょ。みんなの分、覚えてるよ」
俺は北瀬に感心した。ウザい北瀬もたまにはいいところあるではないかと。全員の誕生日を覚えているのは素晴らしい。というより、天才。
……ん?ちょっと待てよ?
「なぁ、俺さ、誕生日パーティーしてもらってないんだけど……」
「いや、何でお前の誕生日パーティーをしないといけないの?」
「えっ?」
「だって、男には興味ないし……」
あっ、ごめん。全然いい奴じゃなかったわ。ドくそ畜生だわ。マジで、顔面に一発パンチを入れてやろうかと思った。が、それだと浦部から反省文を書かせられるハメになるので、
俺は北瀬に羽交い締めをして、十分懲らしめた。そして、携帯を開いて、白浜にこう聞いた。
「お前、来週誕生日なんだってな」
俺がそう聞くと、20分後くらいに、彼女から返信が来た。
「はい。そうです。それがどうかされました?」
白浜の返信は毎回、ラストにハテナがついてくる。彼女自身、知りたがりな性格だからか、色々なことを聞き出そうとしてくるのである。
毎度毎度のハテナマークに、ハズレでもなければアタリでもない返信をする。そして、俺は携帯をバックの中に入れる。
俺は小深の方を向いた。小深は赤石がいなくなると、机の上に突っ伏している。あっ、こいつ寝る気だな。
「なぁ、小深」
「ん?何?」
「お前ってさ、グラドルだったわけじゃん?」
「うん。そうだけど」
「でさ、仕事楽しいって最初は思ってた?」
「えっ?まぁ、確かに最初は楽しいって思えてたよ。でも、最初だけだよ。段々と楽しいって思えていたものも苦痛に変わっちゃってさ……」
「じゃぁさ、今、戻りたいって思う?」
「えっ?戻りたいか?……そりゃぁ、少しは戻りたいと思うけど……大変なのは目に見えてるし……」
小深は黙り込んでしまった。彼女は戻りたいという思いもあったのだろう。でも、戻りたくない。そうも思ってしまうのである。
過去と一緒にしようとするのは悪いことなのか、いいことなのか。それは俺にはわからない。でも、前みたいに、白浜にぞっこんラブしてもいいんだけど、それを許せない俺がいる。
俺は宿題のプリントと教科書を広げていたが、わからなかった。結局、シャーペンをプリントの上に置き、誰かとお喋りに興じるのである。そうして、また難しいことを後に回す。
悪いクセである。
最後にはちゃんと回ってくるものなのに。