「で、日本食を作れなくなった理由は……」
「その、この頃他のお料理を作るのが楽しすぎて、日本食をおろそかにしていたら……」
いや、まぁ、分からなくもないよ。確かに、新しい料理に触れたら作りたくなるのもわかるし、情報の量なんか山よりも高く海よりも深いからね。ココの生きていた時代より、料理に関しては何倍も魅力的だろうね。
が、だからと言って許すつもりはない。俺は日本食をこの頃全然食べていない。一週間ぐらいなら許せるが、さすがにちょっと……ねぇ。
「まぁ、今日はいいや。明日から日本食もちゃんと作ってね」
「ああ……その、そのことなんですけれど……」
「ん?」
「来週の分までお料理の予定を作ってしまって……」
「ふ〜ん。じゃぁ、何かを消したり、予定をずらせば?」
俺はそんな変な返答をしたつもりはないが、なぜかココは怒った。
「そんなことダメですよ!ちゃんと、前後のお料理の相性とか、その日の時間帯との組み合わせとかすごく考えたんですからねッ‼︎」
えっ?何それ?スゲェ、ガチなんだけど。あれ?そんなにガチで怒るの?おっかしいなぁ。半年前まではゲテモノ料理しか作ることができなかったのに、今ではプロ並みのことまでやろうとしてるよ。
「えっ?じゃぁ、そのバランスとかは任せるから、とにかく日本食に変更してよ」
「えぇ〜」
「いや、元はと言えばお前が悪いから」
「うぅ〜」
俺がそう言うとココは何も言えずに黙ってしまう。すると、光が変な提案をしてくる。
「じゃぁ、私が作ろうか?」
俺はその言葉を聞いた瞬間、身の毛がよだった。ガチでやばいと思ってしまったのである。
そう、光は料理が超がつくほど下手くそなのである。ゲテモノ料理でも上手いと思う俺でさえも、マズイと思う。つまり、常人が食べたらどうなることか……。多分この世にいないと思う。
光は冗談で言ったつもりらしいが、俺にとっては今の言葉は悪魔のささやきである。いや、地獄行きの一方通行のきっぷである。
いやはや、怖い怖い。世も末だね。
「そういえばさ、ココ、知ってるか?」
「何がですか?」
「狐ってさ、発情期が冬らしいよ」
「んなっ⁉︎な、なんでそんなこと知ってるんですか?」
「いやいや、今の時代便利だから、ウェブでチャチャッと調べた」
「い、言っときますけど、わ、私は狐じゃありません!」
鏡で自分の姿を見てから言え!その頭の上についている狐のような耳と、お尻についたシッポを見てから言え!
「まぁ、俺を襲わないでね」
「お、襲うわけないじゃないですか!」
「大丈夫よ、ココちゃん。母親である私が許すから。これで認証は得たわ‼︎さぁ、今なら襲い放題よ!ついでに既成事実でも作っちゃいなさい!」
「えっ?で、でもそんなことしたら……」
「おい!ババァ!変なこと言ってんじゃねぇ!あと、ココ!変な誘惑にのってんじゃねぇ!」
とまぁ、今夜も我が家はてんやわんや。それが日常である。
……はぁ、毎日疲れる。