試験二日目。今日は古典と理科が試験範囲だった。古典は授業内でやった大鏡や、漢文の詩を読まされた。理科はもう、壊滅だから思い出したくもないや。
帰りのホームルームが終わり、俺は席を立つ。椅子を机の上に乗せて、教室の前まで机を移動させる。浦部が礼をすると、みんなも頭を下げる。そして、ある生徒はロッカーにある掃除用具を取り、ある生徒は友達と喋り、ある生徒は静かに教室から去っていく。
今日は試験期間中だからGHBもない。俺は早く帰ろうと思い、教室を出ようとした。その時、北瀬が俺を呼び止めた。
「なぁなぁ、柚子木」
「ん?何?」
「そのさ、白浜ちゃんへのプレゼント買った?」
あっ、そう言えば忘れていた。確かにそんな話があったな。白浜に誕生日プレゼントを一人一つづつ送るということを北瀬が決めていたんだっけ?
「いや、まだ買ってない」
俺がそう言うと、北瀬は胸をなでおろした。
「よかったぁ。柚子木もまだ買ってないのか」
「ってことはお前もまだなのか?」
「まぁね。来月にさ試合があるから買いに行く時間が無くて……。で、他のみんなに聞いたらさ、もうみんなプレゼント買ったってよ」
早いなぁ〜。みんなプレゼント買うの早くない?偉すぎだろ。俺なんか、前日にそこらへんの所でなんか役に立ちそうな物をあげようと思ってんのに。
……。
「で、なんで俺にそんな話を振りかける?」
「いや、そのさ……、一緒に」
「行かないぞ」
「……」
「……」
「一緒に……」
「行かないからな」
俺と北瀬の間に睨み合いが発生している。北瀬は鬼のような眼力で俺を見てくるが、俺だって伊達に『東北の鵺』を名乗っているわけではない。そりゃ、もう百戦錬磨の眼力をこちらも持っている。
その時、浦部が俺の頭をパシッと出席簿で叩く。
「おい、柚子木。お前に手伝って……」
「ああああ!そう言えば今日、北瀬と遊びに行くんだったァ‼︎」
浦部にめんどくさいことを押し付けられそうなので、それだけは絶対に避けなければと思った。どうせいつかやるなら今でも別にいいか。とにかく、浦部のめんどくさいことよりかは、プレゼントを買いに行った方がいいよね!
北瀬は俺の肩をガシッと持つ。そして、リンゴを握りつぶすぐらいの握力で俺の肩を握る。自らの骨がギシギシと鳴るのが分かった。
「どうしたの?さっきまでは行かないって言ってたのに」
「う〜ん。なんとなく、やっぱ行こうかなぁって思っただけだよ」
「へぇ〜」
俺と北瀬は睨み合う。額の血管が少し浮き出る。嫌味、皮肉のオンパレードで、憎ったらしい表情を見せつける。
「じゃぁ、行こうか」
「じゃぁ、行こうか」