大きなショッピングモール。色々なお店が並んでいて、物選びには困らなそうなほど広い。これなら、白浜へのプレゼントに最適な物も見つかるだろう。
確か、ここには一回来たことがある。9月の時に、俺はここに来たのを覚えている。赤石がなんか、その頃まではお堅いイメージだったけど、その時から彼女は少しイメージが変わった。話しやすいような人になった。
その転機となった場所がここであろう。まぁ、なんでかは分からないけれど、今の彼女がいるのはここで遊んだからだと思う。
しかし、今、俺たちは男二人でこのショッピングモールに来ている。しかも、二人の目的の買うものは『女子の喜びそうな物』。つまり、男二人が女子の店に入る可能性だって十分ある。いや、むしろその可能性が高い。
これは
あっ、でも西枝は除く。西枝には少し興味がある。俺は今でも、あいつが男であるということを信用してない。まだ女なんじゃないかと考えている。
俺と北瀬はぶらりとショッピングモールを歩いていた。目的はあるのに、どこに行くかは決まっていない。
「で、どこ行くんだよ。
「うん。でも、女の子専用の服屋さんに男二人だけで行くのは嫌だろ?」
「絶対に嫌だ」
少なくとも俺と北瀬は二人とも考えていることは同じであった。北瀬も、俺がさっきまで考えていたことをしたくないと思っていた。二人とも、脳細胞が筋肉だらけだから、考えることは結構似てる。そこら辺、俺たちが人生の中で巡り会えたのは偶然であろう。
いや、人生の中で巡り会えた人、全員が偶然なのかもしれない。偶然だらけの人生の、この3年間しかない『青い春』の花が咲くような一時のために、俺はここに来ている。
俺はGHBの部員の一人だ。現実逃避して、その先にあるものは結局行き止まり。でも、その逃げる道の中で出会えた人は必然ではなく、偶然。だから、現実逃避しようが、しまいが偶然の連続。
その偶然の中に、また恋の偶然もある。
俺は北瀬を見た。このサッカーとエロの事しか頭にないバカは、ここ一ヶ月ほど彼女である湯島に会えてない。なのに、こいつは日常を楽しく生きている。例え、湯島がそれを望んでいたとしても、それでいいのだろうか?
湯島と出会えたのは偶然であると考えれば、北瀬にとって彼女は奇跡としか言いようがない。なのに、彼は彼女がいなくても笑っていられる。
少し、理不尽過ぎやしないか?
俺たちはショッピングモールを歩いていた。北瀬は俺と歩いている時、ボケたり鼻歌を歌ったりと、それほど何かに支障を感じてはいないように見える。
そしたら、ある店が目に入った。ビデオ屋である。
「なぁ、DVDプレゼントとか良くね?」