ビデオ屋の前で立ち止まった俺と北瀬。
「なぁ、DVDをあげるっていうのは?」
白浜にDVDをあげるという方法は少し斬新な考え方であった。俺たちにとって白浜は俺たち庶民の生活とはかけ離れていそうな雰囲気である。ソファで寝そべってテレビとか見てなさそうだし、マンガよりも本とか読んでそう。なんか、家にある本は図書館並みとかそんな感じ。浮き世離れしていそう。
いつも俺たちが普通だと思っていることが彼女にとっては新鮮なものであり、とても目を輝かせている。前、倉本の家に遊びに行った時も友達の家は初めてだと言っていたから、そう考えると少しお嬢様なのかもしれない。
なら、俺たち庶民は庶民的に彼女が面白いと思えるようなものをプレゼントすればいい。
が、一つだけ問題がある。
「別にDVDを買うのはいいけどさ、DVDって少し高くね?」
そう、俺たち庶民の高校生にしては千円以上のお買い物は少し高い。しかもそれが友達にあげるものだというと少しだけその千円が惜しくなる。あげたって好印象しかもらえない。千円がその好印象にしかならないのは、俺にとっては少し損のように思えてしまう。
俺は得とか損とかで考えるタイプじゃないけれど、圧倒的損とかは考えてしまう。だから、大金である千円を使うのは少し惜しい。
その時、北瀬が俺にある提案を出してきた。
「なぁ、じゃぁさ、二人で買わね?」
「いやっ、でも一人一つって紙に書いてあったじゃん」
「いや、でも今回は特別……的な?」
俺は少し考えた。白浜にあげるためのプレゼントは、他にもあるんじゃないかと。
が、しかし何も思い浮かばなかった。食べ物なら何も残らないし、服とかは男が選んでも意味がないし少しだけ変態臭がする。文房具とかはもらっても嬉しいけど、そんな地味なプレゼントは北瀬が許さないだろう。
他にも選択肢はあった。けれど、俺は今日、夜の7時から好きなドラマがやるのでめちゃくちゃ早く帰りたかった。だから、その選択肢を見て見ぬフリをして、俺はDVDを選んだ。
「まぁ、いっか」
俺と北瀬は入店する。店の中は数多くのDVDがあった。ライブのDVDに、アニメのDVD、映画など色々な種類があった。
「なぁ、北瀬、俺こういう所来たの初めてだわ」
「えっ?マジで?」
「うん。今までずっと、欲しいのとかがあっても通販でしか頼まなかったからさ。色々と面倒じゃん?」
「このインドア派めッ‼︎」
運動神経はバリバリいいのにインドア派の極みを探求している俺は、北瀬にポコンと頭を殴られる。北瀬はよく来てそうで、普通に店の中を歩いている。ある場所一直線で、その場所に着くとピタリと止まって、棚をじいっと見る。
俺がそこに行ってみると、そこにはR18の文字が……。
「18禁やないかい!」
俺がそう言うと、北瀬は俺の方を振り向いた。鼻血がポタポタと落ちている。
「俺、よくここ来てるから。色々とムラムラ発散のために……」
ギャー‼︎変態‼︎
よくよく見てみると、北瀬が持っている(エッチな)DVDにはこう書いてあった。
『コスプレ美女との甘い夜♡』
……。
「お前ッ‼︎コスプレ好きかッ⁉︎」
北瀬のどうでもいい性癖を知ってしまった。
ほんとマジで、どうでもいいわ。
「ねぇ、マジメに探してよ‼︎」