「はぁ……」
自分の部屋のベッドの上で深いため息を吐いた。今日、俺は北瀬から逃げてしまった。それは北瀬への裏切りと言われてしまうような行為だった。
俺は湯島の本当のことを知ってるし、多分クラスの中では彼女の病室に訪れたことがあるほど、俺は彼女と親しい。特別な男女関係はないけれど、友達としては相当なものだと思ってる。
そんな彼女と北瀬は特別な男女関係であり、その二人の間に立っている俺は二人がどれほど相手のことを恋い焦がれているかも知っている。
この事態は、その恋い焦がれが原因。湯島はサッカーバカの北瀬に迷惑をかけたくないから何も話さない。できれば、もう捨ててほしいと思っているのに、湯島は彼のことが好きだからそんなことを彼に直接言い出せない。だから、嫌われようとしている。
北瀬はそれでも彼女のことを未だに想っている。そして、彼はそのことを悟っておきながらも、詳しいことは何一つ語られないから行動のしようがない。
二人の愛はとても大きく、とても儚く終わるかもしれない。正直、彼女の病は深刻だから、最悪の場合だって考えられる。
好きだから。愛しているから。そんな言葉が彼らを苦しめている。行動と想いが互いに相反している湯島は真っ白な病室の中で一人苦しみ、その彼女との関わりが一切なくなってしまった北瀬。これは捻れとしか言いようがない。
しかし、これはあくまで二人の問題であり俺には関係のないことだ。湯島は自分がそう望んでいるのだから、北瀬はそんな湯島を愛しているのだからこんな事態になってしまった。
「俺には関係のないことだ……」
別に見放すつもりはない。けど、俺はあまり深入りはしたくない。
深入りをして、悲しむのはもう御免だ。そんな悲しみは、もう未練しか残さないって知っているから、俺はもう何もしない。
スマホで俺は今日買ったDVDの評価を一応見ていた。カーチェイスが売りのDVD、クルマのド派手な演出とか、愛とか正義とか色々と詰め込んだDVD。俺は何となく好きだし、白浜でも比較的見やすいと思って、俺はそのプレゼントにしてみた。
評価は満点が星5で、星4。まぁ、無難なものだ。
プレゼントがDVDはセンスがないだろうか。まぁ、それは当日わかることである。俺と北瀬はプレゼントをもう買う必要もない。
……ゆっくりするか。
そう思い、そっとベッドの下にある薄い本に手を伸ばしたら、部屋の扉がガチャッと開いた。そこにいるのはココである。
「おい、どうしたココ。俺は今、お楽しみタイムなんだけど」
俺が薄い本を見ていると、ココは相変わらず面白い反応をする。
「なっ、何を見ているんですか⁉︎は、破廉恥です!」
「そんなそんな〜。本当はどう思ってんの〜?」
「どうも思ってませんよ〜!」
とまぁ、いつもの固定された会話をして、俺は本のページをめくる。うん。この前買ったから、新品!うん。いい感じにエロい!
「あの、光牙様?話すことがあるんですけど……」
「えっ?俺と結婚したい?やだな〜、照れちゃうよ〜」
「そっ、そんなこと思ってませんよ!」
「本当に?」
「……そ、それは……」
ココの恥ずかしがっている姿をまたマイカメラで撮る。シャッターを何回も押して、また俺のココの写真コレクションを増やすのである。
俺がカメラを持って連写し続けていると、ひょっこりとある人がココの後ろから出てきた。
「ほう、ここがお主の部屋か」
「……あっ、神様……。どうしていらっしゃられているのですか?」
神様は俺の部屋に着くなり、俺のベッドの上にある薄い本を目視する。
「やめて!見ないでぇ〜‼︎」