駅から数分歩いたところにあるカラオケ。今日はそのカラオケで何時間か歌って、そんで白浜の家に行こうというものである。
白浜の家に行く。それは少し図々しい事かもしれない。このパーティーの主人公である白浜に迷惑をかけてしまうかもしれない。が、まぁ、白浜がそれを快く承諾したのだからいいのだろう。
俺はそう思いながらも北瀬を見た。北瀬はみんなの輪の中に入って笑顔をばらまいている。まったく、昨日はあんなに泣きべそをかいていたのに、よく一日でここまで回復できるものだ。
北瀬が白浜に家で遊ばせてくれと頼み込んだ張本人である。彼自身が白浜の家で遊んでみたいという願いと、俺が白浜のことを探っている現状を知っての上での頼み事であった。普通、そんな厚かましい頼み事を聞く意味などないのだが、白浜のとてつもない天使力はその願いを許した。
北瀬は誰にでも嫌われず、憎まれないようなタイプの人柄である。そんな奴が、なんであんなにも悩んでいたのかが気になってしょうがない。
話しながら歩いていたらカラオケに着いた。カラオケの受付まで行ってお金を払う。そして、部屋番号を教えられ、俺たちはその部屋番号に向かう。途中、ドリンクバーのセルフサービスがあったから俺たちは自分の好きな飲み物をコップに注ぐ。
「光牙。何を入れた?」
赤石が隣からそう聞いてきた。俺の手に握られていたコップの中の飲み物はジンジャーエール。それを見た赤石は俺の飲み物と違うものを選ぶ。
「なんだよ。俺のと一緒にしたくないみたいなの。酷くない?」
「いや、一緒って損じゃないか?だって同じ味を選んだら他の味が楽しめないだろう?」
「金銭的にそんな変わんねーだろ。っていうか、何?俺のジンジャーエール飲む気?」
俺がそう聞くと彼女は顔を真っ赤にする。何かにテンパって、呂律が回っていない。
「そっ、そんなわけないだろう!わ、わ、私が光牙とナゼ一緒の飲み物を飲まねばなあない?そ、そりゃぁ……」
彼女がモジモジと何かを言いたげな雰囲気を出していたら、横から小深が入ってきた。
「じゃぁ、私が光牙のジンジャーエール飲む〜♪」
「なっ⁉︎そ、そんなこと、光牙が許すわけないだろう!」
「えー?そんなことないよー。ね〜?光牙〜」
「あ?まぁ、別にいいけど……」
特に興味なさそうに、というかその二人の間の確執に気付いていない俺。そんな俺に赤石はこう聞いた。
「じゃ、じゃぁ、私も、の、飲んでもいいか?光牙の……、ジンジャーエール……」
……。
「グハァッ‼︎」
俺は口から血を吹き出した。まるで昨日見たエロアニメの光景とそっくりだったもので……。
ゴホン!前言撤回。何となく、エロく感じてしまったのである。
「そ、そういう意味じゃないんだ!そ、その……、光牙の飲みかけのジンジャーエールが欲しいなぁって……」
彼女は熱い視線を俺に送る。
が、俺にはその視線が何なのかがさっぱり分からない。
「は?何で、飲みかけ?俺の飲みかけなんか嫌だろ?ほら、飲めよ」
俺はそう言いながら彼女の前にジンジャーエールを差し出した。
「えっ?あ、そ、その……」
「いや、遠慮すんなって」
俺がそう彼女に言うと、彼女は涙ながらにそのジンジャーエールを俺の手から取り全て飲み干した。そんな赤石の姿を見ていた小深はニタニタと笑う。
「……うっ、上手い……。悔しいけど、上手い……」
彼女は涙する。そのジンジャーエールの刺激の強さの驚きの美味しさに。
よかったよかった。泣くほどそんなに美味しいなんて。
いい事したわ〜。