こんな奴でも青春したいっ‼︎   作:Gヘッド

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小深のイタズラ

もう絶対に歌うものか。全然いい点数を取れないのである。

 

みんなはいい点数を取れている。カラオケにあまり行ったことのない白浜や倉本でさえもいい点数を取れているのだ。二人が言うに、下手くそでもそれなりの点数は取れるらしいし、俺はそんなに悪い声ではないらしい。

 

じゃぁ、何故なの?何故俺はいい点数を取れないの?

 

俺は内心、機械に嫌われていると思い、もう歌ってやるものかと思っていた。

 

白浜はふてくされている俺を見た。そして、ワンパターンの笑顔を作る。

 

「柚子木くんはそんなに悪くないですよ。私は結構好きですよ」

 

「嘘つけ、そんなら、毎日俺の歌声を聞いていられるのか?」

 

白浜は首を縦に振る。そしてテーブルの上に置いてある自らのコップを手に取り、ジュースを飲んだ。

 

「歌って、喉が逝かれたか?」

 

「はい。まぁ、少し喉が痛いです」

 

言われてみると、彼女の声は少しだけガラガラしている。歌い疲れたのだろう。それほど大きくはないが、もうこれ以上歌うと、さらに酷くなる。止めといたほうがいい。

 

俺がそう思っていたら、小深が俺の肩を掴んできた。俺は小深のほうを振り返る。小深は見るからに歌い疲れたようで、嗄れた声を出しながら呟いた。

 

「うぅぅ……。もう、無理……」

 

俺は小深のことを指差し、白浜に教えてやる。

 

「ほら、こうなるからもう止めておけ」

 

その時白浜の笑顔が苦笑いになった。

 

おっ⁉︎これは、ツーパターン目の笑顔か⁉︎

 

俺がそう思ってしばらくじっと見ていたが、それ以降彼女の笑顔は変わらない。仕方なく、俺は小深の方を向くと、小深は俺を凝視していた。

 

「えっ⁉︎何?」

 

「ん?いや、舞ちゃんを見ている光牙を見てた」

 

「いやいや、見てない見てない」

 

「本当にぃ〜?」

 

「本当だよ」

 

「へ〜。ねぇ、舞ちゃん。舞ちゃんはどこ見てたの?」

 

唐突に小深は俺から白浜に標的を変える。その思いもよらぬ事態に動揺したのか、彼女はトンチンカンな答えを出した。その動揺っぷりに小深は目をつけたらしい。

 

小深は何かを謀っているかのように不気味な笑みを浮かべ、俺と白浜のコップを手に取った。

 

「ねぇ、二人ともコーラでいい?私が入れてくるよ」

 

表面上のその笑みは普通の優しい笑顔なのに、なぜかその笑顔の裏には企みがあるようにしか思えない。俺が小深を引きとめようとしたけれど、白浜はそんな小深の行動を許した。俺は主役以上の権限はないので、渋々と小深への言葉を喉の奥に押し込んだ。

 

……あいつ、何を考えている?

 

ー10分後ー

 

……あいつ、帰ってくるの遅いな。

 

俺は小深が何かを企んでいるだろうと予測していた。少し帰ってくるのが遅いのである。白浜はまた順番が回ってきて歌っているほどである。

 

「はぁ……、もう疲れました」

 

歌い終わった白浜はヘトヘトになりながら、椅子に座る。少し額から汗をかいていた。頑張って歌ったのであろう。

 

白浜が歌い終わった時、小深がガチャリと部屋のドアを開ける。

 

「いや〜、ごめんごめん」

 

妙に清々しい顔をして部屋に戻ってきた。彼女の両手にはコップが二つある。彼女は俺と白浜のまえにコップを置いた。

 

「ほい、コーラだよ〜」

 

「おう、サンキュ」

 

「ありがとうございます」

 

俺と白浜は喉が渇いていたので、そのコップを口にする。

 

何の疑いも無く。

 

「はぁ〜」

 

白浜はコップに入っていたコーラの半分くらいを一気に飲み干した。それほどまでに喉が渇いていたのだろう。それでも、喉がまだカラカラのようで、またコップに口をつけた。

 

俺は散々待たせた小深に文句を言おうと、彼女の方を振り向いた。すると、彼女は何やらゲラゲラと笑っているのである。

 

……何だか、嫌な予感しかしない。

 

「あっ⁉︎ごっめ〜ん!もしかしたら、舞ちゃんが飲んだコップが光牙ので、光牙が飲んだコップが舞ちゃんのかも⁉︎私、間違えちゃった〜」

 

彼女がそう言った瞬間、コップに口をつけていた白浜は驚きのあまり、口に含んでいたコーラを吹き出してしまった。

 

「ゆ、ゆ、柚子木くんのでしたかッ⁉︎」

 

さっきからガッツリとコーラを飲んでいた彼女は、まさかの事態に動揺した。顔を真っ赤にし、何やら恥ずかしそうに唇を触る。

 

「か、か、間接キス……」

 

「ん?何?どうかしたか?小深に毒でも盛られたか⁉︎」

 

「い、いえ、そ、そうじゃありません……」

 

「私は毒は盛らないわよ⁉︎盛ったとして、ハバネロよ!」

 

タチが悪いな!

 

白浜の顔が少しだけ赤いのを小深は見逃さなかった。そして、そのリンゴのように赤いほっぺをする彼女を少しだけ羨ましそうに眺めた。

 

俺はそんな彼女たちを見ないようにした。

 

歌っている北瀬に向かって、いきなり俺は「上手いじゃん」と声をかける。別にさっきまで聞いてたわけじゃないのに。

 

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