こんな奴でも青春したいっ‼︎   作:Gヘッド

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一人一人の差

白浜の家からの最寄り駅に着いた。俺たちはぞろぞろと電車から降りて、白浜を先頭に行進を始める。駅の改札を出て、白浜の家まで迷いなく歩く。特に目移りする建物なく、俺たちは歩けた。別にこの街がつまらないというわけではないが、なぜかみんなはいつもよりも食いつかない。

 

それでも、白浜はそんなことに気付かず、どんどんと先に進む。一番後ろにいた俺と倉本には白浜との差が少しだけ明確に見えた。

 

白浜は少しだけ足を浮かせながら、家へと向かう。公園の横を通り過ぎ、そして少し行ったところに彼女の家はあった。

 

「ここです!」

 

元気よく彼女はそう声を出した。すると、他のみんなはその言葉に起こされたかのように、はっと目が覚めた。周りをキョロキョロとし、みんなは曖昧な返事をする。カラオケで歌い疲れたのか、目頭を少しだけ擦る。少しだけ眠そうだ。

 

まぁ、だからと言って別にみんな、白浜の家に関心がなかったというわけではない。北瀬は白浜の家を見て、「白浜さんはお嬢様じゃなかったのッ⁉︎」なんてバカみたいな偏見を堂々と声に出していた。

 

ただ、やっぱりみんなはどこか白浜と違うような気がする。そりゃぁ、白浜とみんなは違うけれど、もっと志とかそこのレベルで今、みんなと白浜は違うようにも思える。

 

それを俺と倉本は感じ取った。

 

「何を思い詰めている?」

 

倉本は誰にも聞かれないように小さな声で俺に尋ねてきた。尻目でみんなのことを見て、その後、俺をまた見た。

 

が、面倒くさがり屋の彼女は、話に首を突っ込むのが大変と思ったのか、ため息をつくと視線を違う場所に変えた。

 

「特にお前のやることに興味はないが、面倒くさいことだけは起こさないでくれ。彼女はGHBの部員なんだ。一応、私の仲間だ」

 

彼女からそんな言葉が聞けるなんて思いもよらなかった。彼女は彼女なりに俺のことを、いや、白浜のことを心配しているのだろう。

 

察せられてしまった。それは同じGHBの部員である倉本からである。なら、白浜にも気付かれてしまっているのだろうか。

 

俺は白浜の方をこっそりと見たが、彼女は俺のことに気づいてはなさそうである。まぁ、この様子なら大丈夫であろう。

 

白浜は家のドアにカバンから取り出した鍵をはめ込む。そして、少し回すとガチャリと音がした。ドアノブを握り手前に引いた。

 

白浜の家の玄関とその先に続く廊下が見えた。白浜は俺たちの方を向いて、手を家の中の方へと流すような仕草をする。入れということなのだろうか。先頭にいた者から順に家の中の方へと入って行く。

 

最後は俺だった。俺は、ドアノブを握り横に立っていた白浜を見てボソッとこう呟いた。

 

「ごめんな」

 

その言葉の意味を分からない白浜は、頭の中が真っ白になったかのように俺を見ていた。どういうことなのか、それをずっと探しても答えが見つけられない白浜は、きっと自分の耳の聞き間違いだろうと思い始めたらしく、また元の笑顔に戻った。

 

ごめんな。

 

俺、お前の辛い思い出をぶり返すかもしれないわ。

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