俺たちは白浜に誘導されて、リビングに行く。
彼女の家のリビングから見るに、そんなに俺たちが思ったほどお高そうな家じゃない。いや、別にこの家を批評してるわけじゃないし、素人目線からだけど、案外普通の家だった。
白浜はお嬢様みたいな雰囲気があるから、みんなは彼女の住む家が豪邸なのかと思っていたが、家は中の上くらいである。これといってすごいところは一切なく、平均よりも少し上くらい。
白浜みたいな子が育つ家だからと思い、俺たちは先入観に駆られてしまっていたようだ。
少しだけ期待外れである。
白浜はリビングのソファには座らず、俺たちに「ソファに座ってください」と丁寧に譲る。彼女は冷蔵庫の中からストックされたお茶を取り出し、それをコップに注いだ。お盆の上に置き、コースターを敷いて俺たちの目の前にお茶を差し出す。
俺たちはおもむろにそのコップに手を触れる。そして、そのコップを口につけて、ちびちびとお茶を飲む。
彼女はその間にリビングを離れ、何処かへ行ってしまった。
しばらくすると、彼女は戻ってきた。額には薄っすらと汗が見える。
「どうした?」
「あっ、部屋の掃除をしてました」
彼女は朗らかに笑う。
「お前さ、部屋の掃除の意味なくね?だって男子が二人もいるんだぜ?」
俺がそう言うと、彼女はぽっと顔を赤くする。女の子の部屋に男子を上げるなんて、そんな行為は恋人でもない限りまず無理な話である。というより、俺たち男子のことを考えてほしいものである。女子の部屋になんて、思春期の男子たちに行かせてはならないし、そんなことになったら、どうすればよいかわからないのである。
白浜の恥ずかしい行動を見て、女子たちは白浜を憐れんだのか、俺と北瀬の方をジロッと睨む。
「舞ちゃん!もう、あのバカ二人はほっといて、私たち女子は舞ちゃんの部屋でお話ししよう!」
小深がそう言い出した。小深は俺と北瀬に呆れたようにため息をついていた。俺は待ってくれと言おうとしたが、途中で考えが変わった。
俺の考えが変わったことを北瀬と倉本は察知したらしく、倉本も小深の言うことに賛成する。
「ああ、こんなバカ二人を相手にしててはいけない。ほら、行こう」
「えっ⁉︎あっ、でも……」
「いいんだ。あの二人には分からせないといけない」
倉本はそう言うと、白浜の背中を軽く押した。
そして、女子四人は白浜の部屋へと向かった。そして、男二人はリビングに取り残された。
俺たちは女子たちがいなくなったのを確認し、そして俺のカバンの中から例のブツを取り出す。
ガーチェイスもののDVDである。このDVDを白浜に見せようという魂胆であった。
そして、作戦会議をしていたその時、玄関がガチャリと開いた。
そこにいたのは白浜のお父さんとお母さんであった。