「お〜い!白浜!」
冬の空気は痛い。耳や手が冷えてしまい風が吹くとそれだけで痛覚が刺激される。手袋を手にはめてはいるものの、やっぱりその布を通して冬の温度が伝わってくる。
俺の吐く息は自然と白くなるぐらいまで俺の体温は上がっていた。家から少し走り回っていた。白浜が何処に行ったのかが分からないから、俺は家の周辺を探るしか方法がなかった。
だからって、俺は文句の一つも言葉にしてはいない。これは元はと言えば俺の責任ではあるから、俺が文句を言えるような立場じゃない。
白浜が今のままなら、つまり、俺が彼女のことに首を突っ込まなければ事は円滑に進んでいたに違いない。楽しい楽しいお誕生日会であったはず。だけど、俺がそのお誕生日会をぶち壊したという責任があった。彼女が今のままではダメだと、俺が自分の意見を強要するがあまりに起こってしまった出来事。
他のみんなには家に残ってもらった。俺が悪いのだから、他のみんなに手伝わせるわけにもいかない。
が、頑固な俺は間違っているとは思っていない。あくまで責任があると思っているだけであり、俺は間違っていない。そう思っている。
だって、今のままの彼女はすごく危うい存在である。今のまま人生を過ごしても、将来に絶対につっかえてしまう。それはもう目に見えていたのだから。
俺は走り回っていた。家の周りを隅々まで走り回って、白浜を見つけ出そうとしていた。
「……いねぇじゃねぇか」
見当たらない。そりゃぁ、俺はここの近くに住んでいるわけじゃないし、探し方が非効率なのは分かる。多分、何度も同じ場所を見て回っているかもしれない。それでも、走り回って女の子一人見つけられないのは悔しい。
心拍数が上がっていた。心臓の脈打つ音が聞こえるほど走り回ったのだろうか、俺は少しばててしまった。その時である。目の前から誰かに声をかけられた。俺は顔を上げる。すると、そこにいたのは門川であった。
「おい、柚子木。お前、何でこんなところにいるんだ?」
門川はまるで不思議そうに俺の顔を見た。
そう言えば、門川は白浜の幼馴染であり、白浜の家の近所に住んでいる。
俺はそれを思い出した瞬間、門川に縋るように質問した。
「なぁ!あいつ、白浜がいそうな場所って何処⁉︎」
「は?何?どうした?いきなりなんでそんな事……」
「いいから教えてくれって‼︎白浜が、気分がブルーな時によくいる場所とか知ってるだろ?」
俺のその言葉に門川は何かを察したようで、少しため息をつきながら頭をぽりぽりと掻く。
「あのなぁ、俺、一応先輩なんだけど……」
「じゃぁ、教えてください!先輩!」
「いや、そこまで言われなくてもいいから……あいつなら、公園にいるよ。さっき見っけた」
公園?ああ、確か駅から家まで歩いてくる途中にあったな。そこは俺も行っていなかった。
俺は門川に礼をすると、その公園まで走り出した。全力で、早くその公園に着こうという意志しか持っていなかった。
「おい、待てよ」
門川は俺を引き止めた。
「お前さ、あいつに何をした?」
「……今の彼女を全否定をした……ッス」
俺はそう言い残して白浜のところへ走り出した。門川はそんな俺を呆れた目で見ていた。それでも、その目は少しだけ暖かい。
彼は笑みを浮かべて自らの家へと向かう。
「いやぁ〜。青春、青春!いいねぇ〜。これでこそGHBの真髄だね」