頑張らせていただきます。
個人紹介編も書かないと。
「お前、大丈夫かよ」
俺の口からそんな言葉が出てきてしまうのは必然的だった。あんなこと言われちゃ、誰だってそういう風に声をかけるはずである。
誰だって。誰だってなら、こんなことを考えている彼女に疑問を持ったことのある人は誰かいるんじゃなかろうか。では、何故今の彼女はこんなに人として欠落していると言えるほど落ちぶれてしまったのだろうか。
彼女が、自分が無価値な存在であるって思い始めた頃は、そんなに重症じゃなかったんだと思う。重症になったのは、時間が原因だろう。長い時間をかけて彼女の価値観がじっくりと変えられてしまった。
言わば、一種の洗脳である。自らが自らを洗脳したのだ。思い込みとはそんなことができてしまうから恐ろしい。
そしてその思いこみに彼女の周りの人は気付いていたんだろう。だけど、それを問題視しようとしなかった。問題視して、彼女との関係がこじれてしまうかもしれない。それに、結局は他人事であり、彼女のことなどどうでも良かったのかもしれない。
今の彼女は、白浜舞という一人の少女の持つ運命と周りの対応によって作られたのだ。もしまわりの人が彼女のその欠陥に気付いて手を差し伸べていたら彼女は今のようにはなっていない。
大丈夫かよと言った自分が少しだけ恥ずかしく思えた。彼女が不運な人であり、どうしようもない人なのである。そんな人にそう聞いても、答えは分かっている。大丈夫な訳がない。そして、傷を思いこみで隠そうとしている彼女にとってその言葉は傷に塩を塗るようなものである。
「大丈夫なわけないじゃないですか……」
彼女は両手を握り締めた。
彼女自身、自分のおかしさに気付いているし、今のようにはなりたくないと思っている。だけど、まるでそんな彼女と相反するかのようにもう一人の彼女がその考えを引き止め、誘い込む。
逃げたいからである。辛い現実から逃げて、逃げて、逃げて。逃避行の先にあるのは何もないし何も残らない。後ろを振り向き、楽しそうにやってる奴らを見ると自分が悲しく思える。
彼女は今、悲しみに襲われているだろう。俺みたいな不幸を知らない者を見ていて自分の境遇があまりにも不遇であったことを再度見つめ直しているのだから。見つめ直して、今の自分が間違っているのかもしれないと気付いて、自分の存在価値がさらに低下している。
彼女は気付いていないかもしれないが、彼女の心は泣いている。それは分かる。
そこから、彼女がどうするのかである。それまで俺は彼女の手を引っ張るしかできない。
「なぁ、お前さ、自分間違ってるって思ってるんだろ?」
的を射た質問に彼女はピクッと反応した。そして、俯きながらも彼女は返答した。
「間違ってる……っていうよりも、今、分からないんです。自分が何なのかっていうことが……」