「取り敢えずさ、まずは向き合ってみろよ。生きてちゃいけないとか言う前にさ、みんなの顔を見てみろって。お前を悪く思う奴なんて多分いないと思うから」
俺は彼女にそう言うと、彼女の頭をポンポンと撫でる。ちょうどいい位置に彼女の頭があったので、何となく理由はないのだが触った。理由を後付けするのなら、頑張れよっていう元気づけ。だが、彼女はその行為を元気づけとして捉えてくれたらしく、無言ながらも嬉しそうな顔をする。
「まだ何かで悩んでるか?そうじゃなかったら、早く戻ろう。他のみんなも心配してるし……」
俺は彼女の背中を軽く押す。そして、彼女の手を取り、家へと戻る。公園から出て、家までの道を歩いていた。
俺も白浜の手も冷たくなっていた。冬の空気にずっと触れていたのだから手の肌の水分が無くなってしまい、カッサカサになってしまっていた。俺のカッサカサの手で、白浜の手を握る。手先が冷たく、ヒンヤリとしている。
静寂な街である。もう夜頃だからあまり人は通らないが、今の所誰も人とすれ違わない。そのことに気付くと、段々と不安になってきた。
……あれ?こっちで本当にあってるよね?来た道を通ってるんだけど、本当に家に帰れる?
俺は考えてみた。そしたら、重大な事実に気付く。
あっ、そう言えば、公園に着くまで色々なところ行ったり来たりしてたから何処が何処だか分かんなくなったのかも……。
不安になった俺は地元住民の白浜に家への道を聞いてみた。
「なぁ、家に帰るにはどうすればいいの?」
俺がそう聞くと、白浜は俺の向かっていた方向とは正反対の方向を指差した。
「あっちです……」
俺はその白浜の返答を聞いて、死ぬほど恥ずかしくなってしまった。自分から白浜の手を取り家まで向かっていたのだが、向かっていたのは正反対の方向。
うっわ、恥ッズッカッシー‼︎
そう考えると、俺は自分の行動がどれだけ痴態であったかを理解し、顔の隅々まで熱くなるのを感じた。頬から耳の端までが真っ赤っかになっていた。
あぁ、何だか湯気が顔から出てる気がする。冬の空気と顔との温度差で湯気が出るのが確認できた。
と思ったのだが、どうやら俺の顔からは出てないらしい。と言うよりも、俺の後ろから湯気がもくもくと発生している。
恐る恐る俺は後ろを振り向くと、そこにはまるで今すぐ自然発火してしまうのではないかと思うぐらい彼女の顔が真っ赤になっていて、彼女の周りからは湯気が大量に発生している。無言のまま俺の方をじっと見ていた。
「えっ?どうした?」
俺が彼女の方を振り向くと、彼女はビクッと反応する。その瞬間、さらに多くの湯気が立ち込める。もう湯気の量が凄すぎて、前もまともに見れないくらいに。
俺はそんな彼女への対処方が分からず、パニックになってしまっていた。こんなにも白浜が顔を赤くしている姿なんて初めて見たし、ましてや白浜が黙り込んでいるなんて珍しい。
「お、おい。白浜?」
俺が彼女の表面温度を触診しようと触れた。その瞬間、俺の手には驚きの熱さが伝わった。
「アッツ!」
俺がそう声を上げたら、白浜の体から遂に……。
ボッ‼︎
「し、白浜‼︎燃えてるー‼︎」