神社の境内に入った。神様は境内に入ると、そっと身を隠す。それからすぐに五条と神崎がやって来た。
俺たちがここにいるのを見つけたみたいで、二人は俺たちを見つけてすごく興奮している。
「久しぶりだな、柚子木!」
終業式以来、GHBは一回も集まっていない。学校がそもそもやっていないので俺たちただの生徒は部活動をするために学校の敷地内に入れないのである。それに、門川と広路は大学受験で忙しいし、他の五人だって年末年始なんだから色々と予定が噛み合わない。
俺は特に何にもなかったのだが、五条は隠れお嬢様であり、多数いる親戚たちと宴会をしたりするために全然来れない。
まぁ、神崎とは良く会っていたけど。
神崎はココの所に駆け寄り、手に持っていたマフラーを彼女に渡した。
「はい、どうぞ。この前、美味しいチョコレートケーキの作り方を教えてくれたお礼」
赤い毛糸で綺麗に編まれた少し長めのマフラー。手間をかけて作ったであろうそのマフラーをココは嬉しそうに受け取り、早速彼女は首元に巻いてみた。すると、彼女は温かい笑顔を浮かべる。
「すごくあったかいです」
彼女の首に巻いたマフラーのフリンジがココらしい。結構似合っている。神崎はココの笑顔を見て、連れられた様に彼女も笑う。
「この前に教えてくれたクリスマス用のチョコレートケーキを作ってみたんだ。すごく美味しかったって弟たちも喜んでた」
え、マジで?二人ってそんなに仲良かったの?っていうか、二人とも女子力高くない?マフラーとかチョコレートケーキ?貴方達、何様?
俺はそんな意見を同意してもらおうと五条を見た。すると、彼女は口をあんぐりと開けて、まるでこの世の終焉でも見ているかの如く物凄い顔をしていた。そして、俺が彼女のことを見ていることに気づくと、死にそうな声で俺に話しかけた。
「何で私を見た?」
「そりゃぁ、女子でありながらもこの中で……」
「それ以上言うなッ‼︎それ以上言うなぁッ‼︎」
現実を見ることを避けるように彼女は目を閉じ、見たくない理想から目を背ける。
女子力が皆無な五条にこの二人の話は刺激どころか衝撃過ぎるだろう。赤ちゃんにテキーラを飲ませるようなものである。
別に現実から目を背けてもらっても良いのだが、そうなった場合の自分への反動を考慮した上で現実から目を背けてもらいたい。
「まぁ、五条先輩には無理ですよ。だって……」
彼女の胸を見る。そこは平地であり、山がない‼︎ぺったんぺったんなのである。胸筋のあるボディービルダーの人の方がまだ山っぽく見えるんじゃないかってぐらい平地。
五条は俺が哀れみの目で彼女の胸を見ているのに気づいたらしく、俺を全力で殴る。
「どこを見てんじゃぁぁぁッ‼︎」
俺は一瞬宙へと浮いた。それほどまでに強い打撃。まぁ、中学の頃から殴られ慣れてるんだけど。
俺は五条の肩をポンポンと叩く。
「まぁ、いつか、成長期が来ますよ」
「チックショー‼︎」
五条が発狂し出すと、神崎は発狂の声に気付いたらしく、五条をあやす。神崎にあやされた五条は何やら上機嫌になって、俺にドヤ顔を見せる。
「別にいいもん!女子力なんかなくて!私、運動神経いいし」
多分、神崎は五条にもいいところがあるから安心しろと言ったのであろう。
……これは一種の洗脳ではなかろうか。五条が女子力皆無なのも、もしかしたら神崎の責任かもしれない。
神崎は五条をあやし終わると、キョロキョロと辺りを見回す。
「あれ?神様は?」