今日は始業式で、授業はなく、早く学校が終わった。帰宅部の生徒は学校が早く終わった嬉しさを体全体で表現し、部活に行く生徒も早く家に帰れることを嬉しく思う。
が、やっぱり部活に行くことに変わりはない。俺は早く家に帰って寝たいのに、部活に行かねばならなかった。
冬休み中、ちゃんと会える機会も少なく、学校にも入れなかったため、ちゃんとした部活動はやれていない。だから、三学期早々、部活動をしようと他のメンバーは考えている。
俺みたいな部活面倒だなと思うタイプの人は他にはいない。みんな、なんだかんだ言いながらも結局は楽しく部活をしている。眩しい笑顔で青春を謳歌している。
俺が廊下をトボトボと半歩で歩いていたら、前に大っきなリュックサックがあった。はち切れんばかりにリュックサックの中に何かが入っており、リュックサックの口のところから紙らしきものが顔を覗かせている。その荷物には足がついていて、足がトテトテと前に向かって歩いている。
荷物が歩いているッ⁉︎
なんて思ったのもつかの間、リュックサックから書類がバラバラとこぼれ落ちたのだ。すると、聞き覚えのあるの声がリュックサックの方からしてきた。リュックサックはドスンと下に置かれ、そこから姿を現したのは新聞部部長の安平だった。
「あちゃちゃ、落としちゃった……」
彼女はそう呟きながら、下に落としてバラバラになった書類を手でせっせと集めている。その姿に見兼ねた俺は、彼女の側まで近寄って書類を拾ってあげた。
彼女は俺にお礼をしようと顔を見て、「柚子木くん!」と大きな声を上げる。
「柚子木っすけど、何っすか?」
安平は面白くない俺の返答に、少し顔を顰める。しかし、すぐに顔をまた明るくして書類をリュックサックの中に詰め込む。
……こりゃぁ、話したら面倒くさくなるパターンですわ。話さないようにしよ。
そう思って、俺は安平に何にも聞かずにそのまま安平を通り過ぎようとしたとき、彼女が俺の肩を掴んできた。
「ねぇ、私の話を聞いてッ⁉︎先輩でしょ、私!」
その先輩っていう言葉だけで全てを終わらせるのはどうかと思うが、そのことに突っ込んでいたら話が長引いてしまいそうなので、頑張って飲み込んだ。
嫌々でありながらも、一応俺は彼女に聞いてみた。
「そのリュックサックどうしたんですか?」
彼女は質問されるのを待っていたかのように、満面の笑みになる。そして、あらかじめ用意していた説明を俺にそのまま説明した。
「これはね、冬休みに起きた事柄を色々とメモした紙をいっぱい詰めたリュックサック!」
どれだけの紙をそのリュックサックに詰めたのかは知らない。というか、知りたくもない。地球温暖化に貢献してそう。
……。
「よし、じゃぁ、失礼します」
「ちょっと待ってよぅ〜!」