で、帰り道に三人でファミレスに寄った。今日から三学期が始まったから、何となく『今学期も頑張ろう会』的なのを行おうとしていた。しかし、他のみんなは生徒会やら部活やらで忙しく、結局参加できる人がいつもの三人になった。
「……なんか、四六時中この三人で一緒にいる気がするのは私の気のせいか?」
「それ、俺も思ってた」
「私もです」
たわいない会話をしながらコップに入ったジュースを一口、口に含ませた。
ファミレスの中は暖房がガンガン聞いていて暖かかった。店の扉を開けて一歩足を踏み入れた時、店と外の寒暖の差を直に感じた。外はまさに冬の寒さで、手袋を嵌めていないとまともに指先を動かせないほどにまで悴んでしまう。
そんな冬の寒さから逃れた俺たちは席に座った途端、動けなくなった。何てここは暖かいのだろうと。それからずっとここで取り留めもない話をしていた。
店内に入ってから少し経って、俺はみんなに北瀬の話題を取り出してみた。みんなの意見を聞いてみたかったのである。
彼は湯島のことを諦めたのか。そして、湯島ではなくサッカーを選んだのかと。
二人とも俺にどう思うかと聞かれると少し悩んでいた。やっぱり、この話題は少しだけ難しい問題で、北瀬だけが問題ではないと思ってしまう。
俺たちが、もしもっと早く北瀬に湯島の病状ことを伝えていれば、北瀬は湯島のことを諦めなかったのではないかと。
「私は北瀬が諦めたと思うぞ」
一番に口を開いたのは倉本だった。難しそうな顔をしながらも、真剣にことについて考えている。
「流石に自分だけ病状のことを知らされないのは心に色々とくると思うぞ。それに、湯島が別れたいからそうしたのだ。なら、別れても当然のことじゃないのか?湯島だって、別れるのは辛いだろうが、北瀬にも重荷を背負わせたくはないだろう」
倉本の言うことも一理ある。湯島がどんなに北瀬のことを想っていようとも、自分だけ仲間外れみたいにされるのは誰だって快いとは思わない。それに、湯島が北瀬に迷惑をかけたくないから通信を絶っていたのだ。そりゃぁ、北瀬が諦めてしまったという説も納得出来た。
けど、白浜は倉本の意見には反対の立場のようである。
「私は違うと思います。確かに北瀬くんは嫌になったと思います。北瀬は確かにおちゃらけてて、浮気とかしそうな人です」
「お前、色々とヒドくね?分かんなくはないけど」
「でも、北瀬くんはそういう悪いことをしそうでしない人です。見た目や雰囲気に反して、意外と一途な感情を持っているんじゃないでしょうか」
何とも言えない白浜の説。いや、分からなくはない。確かに俺もそう思う。北瀬はチャラ男だけど、付き合っている子を絶対に裏切らないような奴だと分かる。それは男として近くにいる俺もそう思うのだ。
だが、その説には根拠がない。俺だって倉本だってそう思っているけれど、その説に至る根拠があやふやなのだ。あくまで、今白浜があげた根拠は直感や感覚的なものであり、論としては不十分。
それが問題なのだ。
俺たちだって、北瀬が好きな女の子を裏切るような奴だとは思いたくない。けど、そう思うしか出来ないのである。
彼が湯島とまだ別れていない。その十分な証拠が必要なのである。