倉本はGHBの部室の扉を開ける。部室には白浜と赤石と小深がいた。彼女たちは扉が開いた音を聞いて、こっちを振り向く。透明人間状態の俺には彼女たちの視線は向かず、俺の隣にいる倉本にのみ彼女たちの視線が向いていた。
「すまない。遅れてしまった」
「いえいえ、別に大丈夫ですよ。それより、ほら、ここに座って」
白浜は倉本を席へと誘導する。
教室に置いてある机が四つくっ付けられており、その机を四人で囲んで昼食を食べようということらしい。先に着いている三人はもうマットを敷いており、その上には未だ開けられていない弁当が置いてある。
倉本席に座り、持っていた弁当箱を机に置いて、ちらりと俺のいる方を向く。もちろん、俺の位置など彼女には見えないが、彼女との作戦通りの位置に俺はいるため彼女と目が合った。まぁ、尤も彼女からして俺の姿は見えないから目を合わせたことも分からないだろうが。
ついに作戦が始まった。
作戦、それはここに来る前に彼女と話した俺の欲望を叶えるためのプランである。
まず、第一に誰でもいいから触りやすい人の肩を触る。これは別に俺だっていつもしていることだが、段々と過激な行為に慣れてゆくためのことである。最初は軽いことから始めよう。
次に髪、そして生足を触る。このステップアップ方式は段々と変態的な内容となってくるが、これも健全な男子高校生としては普通のこと!……多分だけど。
まぁ、でも、男の俺的にはまだJKの生足を触るくらいはセーフだと思う。ギリギリセーフだと思う。
だが、ここからはヤバイ。変態とかそんなレベルじゃなくなる。犯罪者レベルの行為である。
誰かの箸を舐めることである。これは成功しやすいとかそんなことの前に、まず俺の理性をぶち壊さなければならない。理性に打ち勝ち、相当な度胸を持たねばならないのである。
そう、この俺の欲望を叶えるためには、己と戦わねばならないのである!
とまぁ、カッコイイことを思ってみるものの、実質ただの変態犯罪者であることに変わりはない。
近くに犯罪をしようという健全な男子高校生がいることを知らぬ女子たちは自分の弁当を開ける。そして、その弁当を見合って、学校の昼休みに行われる小さな女子会は幕を開けた。
そんな女子会に参加しているのかしていないのかは定かではないが、この女子の香り漂うGHBの部室の空気を満遍なく吸って吐く。その行為だけで満足出来るが、今回ばかりはそこから十歩ほど踏み出してみようと思う。
さぁ、変質者への階段を駆け上がろう!