白い壁に溶け込むように白い肌をした彼女は俺たちにあることを聞いた。
「珍しいね。三人で一緒に来るなんてさ。いつもはバラバラか、二人で来てたのに」
別にこれという理由はなかった。何となくふとこの三人で行こうと思えたのだ。いや、この三人でなければならないだろうと感じたからである。
この三人の共通点、それはGHBの部員だということ。
GHBの活動内容は青春を謳歌する、させるために、その障害となるものを取り除くというものもある。いわば、青春のお悩み相談・雑用係。
なら、俺たちは今目の前にいる彼女に青春をさせなければならないはずなのだ。この白い壁に閉ざされて、窓からしか陽の光を浴びれない部屋に軟禁されている状態では青春の日々を謳歌することが出来ない。
「なぁ、湯島。悩みあるならさ、俺たち言えよ。相談乗ってやるから」
少し唐突にそう俺は彼女に語りかけた。彼女はその言葉に驚いたような顔をした。
「え?相談?いいよ、別に大丈夫だし。相談なんて私にはないから」
彼女は何かある話題から遠ざかるようにその話を切ろうとした。だが、ピュア過ぎる白浜はそんな人のモヤモヤした心の悩みを理解出来ずに、単刀直入に湯島に趣旨を伝えた。
「何か北瀬くんのことで悩みがあるのだったら、遠慮せずに言ってください!私たち、お二人の関係が心配になっていて……力になりたいんです!」
相手に単刀直入に言わずに、遠回しにある件のことを示唆するという術を彼女は知らないようだ。真っ直ぐ素直に嘘なしでしか言えないらしい。まぁ、ピュア過ぎる白浜に言わせてしまえばそうなることは予測出来てはいたのだが。
しかし、別にピュアだから良いというわけではない。真っ直ぐで、素直で、嘘がなくても、時にそれが相手にとっては嫌なことだってあるのだ。例えどんなに純粋にその人のことを考えてあげていても。
「無いって!」
湯島は少しだけ強く声を出した。目の前にある大きな壁の現実を見ないようにして、否定していた。無いんだ、自分は大丈夫なんだと暗示をかけている彼女は現実が怖く、その現実を見たくないんだ。だから、彼女は友から差し伸べられた救いの手を振り払い拒絶した。
「あっ、いや、その……ごめん」
嫌な空気が流れてしまう。そんな雰囲気にするつもりはなかったのに、久しぶりの楽しいお話にするつもりだったのに、どんよりとした空気になってしまった。濁った空気が目の前を漂い、俺たちは一同に顔を下げた。
そんな中、倉本はその空気をどうにかして変えねばならないと思ったのか、彼女は突然部屋を出ようとした。
「あっ、そう言えば、私、飲み物が切れているんだった。飲み物を買ってこよう」
倉本は白浜の方を向いた。
「舞ちゃんも飲み物が切れているんじゃないのか?一緒に買いに行こう」
「あ、……はい」
倉本は白浜を戦線離脱させるように彼女を連れて部屋から出て行った。