「なるほど、まぁ、だいたい事情は把握した。だがな、やはりそこは自分自身で切り開くものじゃろ。そこで儂の力を借りてるようではダメじゃ」
「いや、マジでそこをなんとか。ダメでいいからさ」
幼乃はため息を吐きながらも、友達の願いとして受け入れてくれた。
それから少し経って、北瀬がやって来た。ここは化学準備室。幼乃と弥生の行動範囲兼、縄張りである。ちょいちょい俺たち三人はここでポテチを囲みながらコーラを飲んで雑談していたが、それも一ヶ月ほどやっていない。
「……久しぶりにここ来たなぁ〜」
彼はそう呟きながら部屋に入ってきた。そして、俺たちの事を認識すると、明るい笑顔を向けてきた。
「ようっ!」
彼が俺たち二人にかけた掛け声に幼乃は自然と手のひらを見せて返事をする。それに対して俺は彼に返事をすることなく、気まずい笑みを見せるだけだった。
だが、彼はそんな俺の笑顔に気付かないのか、俺の隣の椅子に何気なく座った。
「いやぁ〜、三人でこれ、またやるのって久しぶりじゃね?」
「うむ。そうじゃな」
「お、おう。懐かしいな……」
明らかに俺だけ普段の温度よりも冷めていた。北瀬はいつも通りのうるさい感じだし、幼乃はあまり騒がないようなタイプの人なだけでいつも通り。ただ、俺だけはいつもの温度よりも少しだけ冷たい。
まぁ、簡単に言ってしまえば気まずいのだ。これから聞く湯島とのこともそうだし、この頃話していないのもそう。それに、今まで軽く無視していたと思われているかもしれないということが、彼の顔を直視出来ない原因なのだ。
北瀬は手に持っていたビニール袋を机の上に置いた。そこにあるのは大きなポテチ。
「これ久しぶり過ぎて、なんか嬉しくってさ。でけぇの買って来ちゃった」
な〜にが「買って来ちゃった」だ!可愛いように言って好感度アップ狙ってんじゃね〜よ!
なんて、捻くれた発想しか出来ない俺が何とも情けなくて仕方がない。
「あっ、幼乃っち。紙コップある?」
「ん?紙コップ?ああ、そう言えば……」
幼乃は紙コップを取り出そうと、扉の隣にある棚の中を探す。随分と散らかっているため、彼女は紙コップを見つけるのに悪戦苦闘している。
「あれ?無いっぽい?」
「ん〜?あると思うんじゃがなぁ〜」
まだ見つけられない。
彼女がテーブルから離れてしまい、必然的に俺は北瀬と話さなければならない雰囲気になってしまった。いつか来るとは思ってはいたものの、まさかこんなに早く訪れるとは。
……さて、何を話そうか。