ポテチをつまみながら、コーラを片手にぶつぶつと日頃の不満を口にする。体の芯がストレスに浸かるほどに、日々ストレスは溜まり、こういう所でしかストレスを言葉として発散出来ない。
「でさぁ〜、俺たちGHBがお手伝いに来ましたァ〜って言ったら追い返されたんだよ?おかしくない?来て下さいってお願いされたから来たのに追い返されるって」
「あ〜分かるわ。俺たちサッカー部もさ、コーチに色々言われるのよ。これをやれとか、あれをやれとか。で、この前、俺たちがコーチに言われた通りのことしたらさ、怒られたんだけど。マジで意味分かんない。ふざけんなあいつって感じ」
滞ることのない不満の語り合い。それはそれでスッキリとして気持ちの良いものなのだが、それがしたかったわけではない。
そう、俺にはやらなければならないことがある。湯島と北瀬のことを聞かねばならぬのだ。もちろん、二人のデリケートな細かい事情を聞く気はないし、断られたらそこでおしまいにしようとは思ってはいるが、大雑把なことだけでも教えて欲しいものだ。それこそ、付き合っているのか、いないのかということを。
真剣な顔をする。
「なぁ、北瀬、お前ってさ、湯島とこの頃会ってる?」
ついに聞けた。彼に湯島との仲のことを聞けたのだ。これまで何にも聞けなかったことを聞けたということが単純に嬉しい。
が、まだ喜ぶのは早い。喜ぶのは彼の回答を聴いてからだ。
俺の重苦しい雰囲気の中から投げかけられた一つの質問。しかし、彼はその質問を投げかけられても微動だにしない。
「え?いや、あんまり会ってないけど」
……ふぅ〜ん。
そんな相槌だけで終わってしまいそうな北瀬の回答。あっけらかんと別に俺の質問が痛い所を指摘したというわけでもなさそうに。平然を装っているわけでもなく、ただ何ともない。ビクともしないというよりかは、一切彼の心に響いていない。
「それ……だけ?」
「ん?何がさ。それだけって、質問に対する答えのこと?それだけだけど。えっ?何か問題あるかな?」
「あー、いや、問題はないよ。問題っていうか、その、驚き?」
意外だった。まさかそんな返答を彼がするとは思いもよらなかった。俺はてっきり彼がわたわたと慌てふためき、湯島との仲のことを隠そうとばかりするのかと思っていたから。だけど、目の前にいる彼は包み隠さずオープンに、しかも何の差し支えも無さそうにしている。呆気にとられたのは俺の方だった。
つまり、簡単に言ってしまえば、彼は湯島とのことを何とも思っていないということ。
だが、北瀬はそれほど薄情な男だろうか。確かに男に対しては薄情極まりないが、女に対しては多分ジェントルマン泉野並みだろう。
……あれ?じゃぁ、まさか。
「お前、湯島と付き合ってるよな?」
「は?何言ってんのさ。付き合ってるに決まってんじゃん」