もう一回!
あれから北瀬は毎日のように湯島のいる病院へと通っている。おそらくは湯島が退院する日までずっと一途に通い詰めるだろう。それが北瀬の愛の表し方なのだとしたらどうこう言うつもりはないが、忠告のようなことだけは一つ言いたい。
「なぁ、北瀬。お前、湯島のためだからって、サッカー部の練習をサボるのはヤバインじゃないか?」
実験器具に囲まれたこの空間で俺は彼に軽く注意をした。だが、行っている俺も俺で、人のことは言えない。
「お前がどの口でそれを言ってんだよ。部活をサボるなって、お前が言えねーだろ。そもそも、俺にはちゃんとした理由があるし、理由無しでサボるお前に言われたくない!」
ぐぬぬ、耳が痛い。いやぁ、正論正論。まったくもって、正論極まりない。
俺はため息を吐いた。が、別にだからと言って、俺の部活に対する基本姿勢を変えるつもりは無いし、そもそも北瀬と湯島の二人をずっと見ていただけあって、この結果もなんだかんだ納得はいっている。
「でも、いいではないか。北瀬がイチャラブな家庭を作るための一歩を歩めているのだから」
幼乃はそう言いながら、二リットルペットボトルのジュースを紙コップに入れる。
「な⁉︎か、家庭とか、い、言うなよ!恥ずかしいじゃねぇか‼︎」
照れる北瀬。
「お前が照れても誰も得しねーよ。可愛い子連れてこい。可愛い子」
それを冷やかす俺。
「私を呼んだか?」
自慢の白衣姿ロリボディを披露する幼乃。
よく言えば、この雰囲気は賑やかで実に良い。
実は今、三人で放課後ダベろうパーティーをしている。この前、北瀬が真の愛の形に気が付いて湯島の所に直行したせいで二人だけになってしまったので、今回はちゃんと三人でパーティーをしようということ。
仲が良いのか悪いのか、ともあれこうやってよく集まっている。ちなみに、今回も準備室でパーティーで、目の前にあるお菓子やらジュースやらは全部北瀬の奢り。というか、奢らせた。
「ヒューヒュー、ラッブラブぅ〜。このまま結婚して幸せを掴み取るかぁ〜?」
「掴み取んねーよ!……ああ、いや、掴み取りたいけど……。その、まぁ、あいつが良ければ……」
「ヒューヒュー‼︎」
「ヒューヒュー‼︎」
「お、お前ら!ひ、冷やかすなよ!」
「ラッブラブぅ〜」
「ラッブラブぅ〜」
「うるせぇ!そういうこと言わなくていいんだよ!照れるだろ!」
「ズッコンバッコン!」
「ズッコンバッコン!」
「それは下ネタだから!おやめなさい!」
北瀬イジりが段々と楽しくなってきた。これほどまでに優位な状況に立てるということは素晴らしいのか。
うむうむ。
よし、ここは一つ、北瀬をさらにイジくるための質問をしよう。
「なぁ、北瀬。お前と湯島って、どうやって付き合ったの?」