あの頃の俺は何にも知らないただのバカだった。友達とか別に必要ねぇって思ってて、俺の前に立ちはだかる奴はみんな敵だって思ってた。女だからって容赦はしない。が、やっぱり手を上げるのは男としてどうかと思って、脅すだけだったけど。
それでも、ほぼ一匹狼みたいにやっていた。友達はゼロじゃなかったけど、本当に仲のいい奴は十人も満たなかった。
前に話した通り、俺はあるチームに入ってた。小っちぇレディースチームだったけど、なんか俺はそこに入ってた。
周りからは女ばかりのチームに入った変態野郎だって言われまくった。否定はしなかったけど、言った奴ら全員ボコしてた。
本当は俺にもそのレディースチームに入った理由があったんだ。それは、何か俺にできそうなことを見つけようとしていたこと。毎日の生活がモノクロ写真みたいで、何にも彩られていないこの生活が少しだけ彩られればいいと思って入った。家の近くにそういうチームがそこしかなかったから、レディースチームを選んだだけだけど。
そこのレディースチームは案外居心地が良かった。俺みたいな一匹狼の男でも普通に接してくれた。みんな歳は同じくらいで、最年長でも高一とかそんぐらい。暴走族ってわけでもなく、ただ溜まっていただけだった。だから、チームに入ってても悪いことはしないし、むしろ結構いいことしてたんだと思う。
だけど、そんな所に入っているのを他の奴らは許さなかった。家族は許しても、学校側は許してくれなかったんだ。俺が通っていた学校は比較的人は多かった。俺が田舎に住んでるってだけで、学校は住宅街の所にあったから生徒数には困っていなかったんだろう。
住宅街の生徒の奴らはここ十年くらいで引っ越してきた奴。俺たちみたいな田舎者を異端者みたいな目で見てきて、さらにチームに入ってた俺は学校でほぼ孤独だった。俺のことを分かるような奴は田舎者だけ。
学校からは何度も何度も忠告を受けた。チームから抜けろと。学校の先生も引っ越して来た奴ばっか。
そんな学校が嫌いになって、つまんねーなって思いながら、嫌々登校してた時、俺は彼女に会った。
「あーあ、つまんねぇ〜。家帰てぇ〜」
中学校の屋上で惚けていた。中学校の屋上は立ち入り禁止で生徒、職員は入ってはならないのだが、そのせいで誰も立ち寄らず、あの時は屋上は俺の領地みたいなものだった。
家に帰りたい。毎日毎日思っていた。今、家に帰ったらこの心苦しい空間から解放されて、どれほど快いだろうか。だが、学校の校門は一つしかなく、その校門は閉ざされている。塀は高く、流石の俺でも登れない。
六月の空を眺めていた。生憎、六月は休日がなく、ほぼ地獄。毎日毎日、あの長い登下校を繰り返さねばならず、心底俺は頭にきていた。
四時間目終了の鐘が鳴った。やっと終わったかと、空に漂う雲を眺めながら思う。手元にある弁当箱を広げた。
う〜む、父さんが作った弁当箱、意外と女々しい弁当箱で期待はずれ。野菜に魚、五穀米。体のことを考えてくれるのは嬉しいんだが、やはり肉が食べたい。肉を入れてほしいものだ。
箸を取り出し、卵焼きを箸でつまんで口に入れようとした。
その時だった。屋上の入り口のドアがバンッと勢いよく開いたのだ。驚いた。今まで誰も俺がいた時にドアなんて開いたことさえないし、しかも勢いよく開いたから驚いてしまう。
誰だろうか。俺と同じ悪ガキは。
そう思ってドアの方を見た。すると、そこにいるのは……。
「はぁ〜、ここ涼しい〜。前からここに来てみたかったのよ〜」
「あっ、生徒会長」
生徒会長の小妻葉月だった。