今回はちょっと柚子木の過去がうっすらと見える所もありますね。
まぁ、見てください。
今、俺たちは高速道路を走る車の中にいる。今日は朝早くから高速道路に入ったためにそこまで混んでいない。
「おい!柚子木。お前何か顔が死んでんな。どうした?」
「いや、どうしたも何もないですって。何でみんなが俺の家に来るんですか?」
「だって、楽しそうだし」
「楽しくはないです。騒がしいだけです」
俺はそう言うと光の方を指差す。光は他のみんながいるにも関わらず大声で歌っている。
「あれがあと二人もいるんですよ。耐えられると思いますか?」
「まぁ、頑張る。ってか二人?お父さんとあとは誰?」
「妹っす。今は中三かな?」
俺がそう言うと白浜も話に乗り込んできた。
「えっ?柚子木くん、妹さんもいるんですか?」
「ああ、まあな」
「へぇ、いいなぁ、妹って。私もおねぇちゃんって呼ばれたいなぁ〜」
ああ、だから一人っ子はダメなんだ。一人っ子の奴らは兄妹の辛さをわかっていない。
そもそも、妹とはイメージ的に可愛いが、うちのは一味違う。可愛いとか言う前にしつこいのである。非常に粘着質な奴である。
何かをしてしまったら一生根に持つタイプである。あれは絶対に誰もが嫌うタイプである。
「お〜い!広路〜?また死にそうか〜?」
門川が広路にそう呼びかけている。広路は下をうつむいて顔色を悪そうにしている。
「どうしたんですか?部長。気分でも悪いんですか?」
「まぁ、広路は乗り物に弱くてな。よく酔ってしまうんだ」
「なんだ。それならよかった。てっきり母の染み付いた長年の煙草臭で気持ち悪いのかと……」
「悪かったわね」
いえいえ、こういう時に言わないと煙草辞めてくれそうにないし。
光は喫煙家である。流石にこればかりは家族が辞めろと言っても辞めない。
「あっ、もうすぐパーキングエリアだってさ。じゃあ広路を休ませるために寄るか?」
「そうですね。そうしましょう」
という事で、パーキングエリアに寄る事となった訳である。
お盆休みなだけあって、パーキングエリアには多くの人々がいた。俺と白浜、倉本は軽食をしていた。
「柚子木くん!見てください!メロンパンですって!」
「そうだな。美味そうだな。お前は何が欲しい?倉本」
「私か?私はパイとパンだな」
「おい、ここで下ネタはやめろ」
「下ネタ?」
……げっ⁉︎まさか早とちりしたパターン?
「うわっ⁉︎まさかお前そう言う事を考えてんのか?」
「お前が悪い!」
俺と倉本がくだらない言い争いをしていると光もこっちに来た。
「何?お二人さん仲良いねぇ〜」
「は?こんな奴と?」
「そうだな。こんな愚民とは仲がいいとはな」
「何ぃぃ?」
俺と倉本の間に火花が散る。
光はそれを無視して白浜と話す。
「白浜ちゃん。おばさんが何でも買ってあげようか?」
「えっ?いやいや、いいですいいです。大丈夫です。自分で買えます。そんな、人から奢ってもらうなんて」
「いいのよ。少しは人に甘えなさい。少しは息抜きも必要よ」
光はそう言うとメロンパンを白浜に買ってあげた。
「えっ、ありがとうございます」
「謝らなくていいわ。だってこうちゃんがいつも迷惑かけてるみたいだし」
「そ、そんな事ないです。それに、私がこの部活に誘ったんで……」
「あら、それは初耳ね。また私を騙して。どれだけ自分を犠牲にすれば気がすむのかしら。あの子は……」
光はそう言うと白浜の肩に手をポンっと置いた。
「ほら、行くわよ。もう行かないと混んじゃうわ」
そして俺たちはまた車に乗って俺の故郷ふるさとへと戻るのである。