さぁ、今回は夏祭りの回、前編です!
では、本編の方をお楽しみくださいませ。
スーパーから帰ってきて俺たちはある準備をしていた。
「おい、柚子木。支度はできたか?」
「まぁ。できました。あとは女子陣だけですね」
俺と門川は夏ならではの格好である。
甚兵衛じんべえを着ている。そう、今日は夏祭りなのである。近くの神社で夏祭りがある。
という事はもちろん女子たちはあの格好である。
「すいません!遅れました」
白浜を含め、女子たちみんな浴衣姿である。
白浜は撫子ナデシコ柄のピンク色の可愛らしい浴衣で、その隣にいる倉本は淡い青色の生地に乗った朝顔の浴衣を着ている。
五条は桜柄が煌きらびやかにある黄色い浴衣。神崎はシンプルイズザベストに菖蒲あやめ柄の白い浴衣。広路は赤い蝶が黒色の生地の上を飛んでいる。そんな浴衣。
みんな浴衣を着ているといつも以上に綺麗であった。ってかみんな平均よりかは上の方なんだよな。地味に。
「なんか、浴衣って怖いな」
「何でですか?」
「いつも見ているみんながいつも見ているみんなじゃなくなってる。なんか綺麗に見えてくる。これが巷ちまたでいう浴衣マジックなのかっ!」
「すごいわかりますわ」
俺と門川が男の会話をしていると五条も話に入ってきた。
「何かボソボソ言ってるみたいだけど結構聞こえてるよ。ってかそれって褒めてるの?」
「まぁ、俺は褒めてますよ。部長は多分他の意味だと……」
「んなわけねぇだろ。俺=人をけなすのが好きみたいなこと言うな」
「えっ?違うんですか?」
「違うの?」
「お前ら、後でお説教な」
門川がそう言うと五条は一目散に逃げ出した。
「私はもうしーらない!」
げっ!せこっ!それでも先輩かよっ‼︎
俺も門川の殺気が凄いほど感じられたので夏祭りの方へ走って向かった。
神社に着くとそこには多くの人がいた。家族で来ている人やカップルで綿あめを食べながら歩く人、金魚すくいではしゃぐ子供たち。
こんな田舎にも人はいっぱいいるんだな。俺がいた場所はこんな場所。でも、今は違う。
「柚子木くん!」
「愚民!」
白浜と倉本が俺を呼んだ。
「何?」
「柚子木くん!一緒に回りましょう!夏祭り」
「まぁ、特別に誘ってやる」
「へへ、じゃぁ、そうしようかな」
俺はこいつらと夏祭りを回る事にした。
去年も俺はここに来たんだっけ?確かあの時は夏祭りの後の花火の下で二人きりで……。
変な事を思い出した。忘れよう。もう、過去の事なんて。
もう、考えたくもない。
花火なんて嫌いだ。儚はかなく消えてしまう。そんな一瞬の美はもう嫌だ。
人の命はとても儚い……。
俺が暗い顔をしていると白浜が俺に声をかけた。
「どうしたんですか?具合でも悪いんですか?」
「ああ、いや、別にそういうのじゃない」
「なんだ?舞ちゃんのあられもない姿を想像してたのか?」
「まぁ、一瞬は……」
「それはめっ!ですよ。柚子木くん」
なんだこいつ。可愛いすぎてヤバい。鼻血出るわっ!
「ほら、早く回りましょう。私、射的やりたいです」
「そうだな」
俺たちは夏祭りを楽しむためにいっぱい遊んだ。
楽しく遊ぶ。
本当にそうだったのだろうか。
もしかしたら、考えたくなかっただけなのかもしれない。
もう忘れようとした過去の事を。