今回はまぁ、お風呂でちょっと考える回です。
「ただいまぁ〜」
俺は家に帰って来た。奥の方からココが飛び出してきた。
「お帰りなさいですぅ〜部活ですか?」
「まぁそうだね」
「じゃぁ、お夕食を先にしますか?それともお風呂ですか?」
「お前、そこはわ・た・し♡とかないとダメだろ」
俺は変なツッコミをしたが、ココは意味を全く分かっていない。頭の上にハテナマークが浮かび上がっている。
「まぁ、いいや。風呂にするよ」
俺は部屋に戻って風呂の支度をした。パジャマに下着を持って部屋を出た。服を脱いで、シャワーを浴びる。水温は約40度ほど。ちょっと熱い。
俺にとって風呂の時間はいわば考える時間のようなものだ。今日は何があったか、明日は何があるかなどを考える。
俺はシャワーに当たりながら考えた。その内容は主に二つ。
一つは赤石の付き合ってるかも疑惑である。あれは付き合ってる付き合っていない以前にまずアウトである。プライベートな所まで入るのはあまり良くないと思う。それに、あれは付き合ってるようには思えない。だって付き合っているなら手を繋いでいたり、恋人らしい事一つはしているはず。
そしてもう一つは門川と広路の事である。あれは確実に黒である。少なくとも広路は門川の事を想っているはずだ。門川はそれに気づいていると考えた方がよい。ただ、今の関係を崩したくない門川はそれに気づかないフリをしている。
新学期早々に何と厄介な出来事が起きてしまった事だろうか。
「光牙様〜」
ココが俺を呼んだ。
「何?お背中流しますってか?」
「いや、違います。お電話ですぅ〜」
電話?こんな時間に誰であろうか。
「ええっと、倉本さんからですよぉ〜」
倉本か。多分、門川と広路の事であろう。まぁ、あの時はもうすでに倉本は起きていただろうから俺の失態の一部始終を知っている。
俺は早く風呂を出て倉本の電話に対応した。
「はいはい。柚子木で〜す」
「遅いぞ」
「ごめんごめん。で、何?」
「何じゃないだろ」
と、早速指摘されてしまった。
「ああ、あれな。今日の部長と広路先輩の事だろ」
「そうだ」
倉本はいつにもなく慎重に淡々と俺を叱る。さすがに今回ばかりは何も言えない。倉本が助けてくれなかったらどうなっていた事か。
散々、倉本に叱られた後、俺に一つ質問してきた。
「おい、愚民」
「何?また何か怒るの?」
「できればお前をズタンズタンにしたいが、それよりもお前に聞きたい事がある」
……聞きたい事?一体なんなんなのだろうか。
「今日、お前が安平さんからもらった書類の中を見たか?」
「ああ、見たぞ。……赤石さんの事だろ?」
「そうだ。その事についてだが、お前は何か知らないか?」
……俺が赤石の事で知っている事。
俺はこの時ある事を思った。そういえば赤石の事全然知らない。
赤石は自分の事をペラペラと喋るような奴ではない。しかし、それでも俺は何も知らない。それは倉本も同じである。だから倉本は俺に聞いてきたのだ。何か知らないかと。
「あいにく、俺は何も知らん」
「そうか。……使えんな」
彼女はそう言うと電話を切ってしまった。
相変わらず人使いが荒いな。まぁ、友のためならば。だな。