「ロミオとジュリエット?」
「うん。早乙女君とあかねさんがするの」
屋上でブルーシートを敷き、九能先輩のために作ってきた重箱を広げ、早乙女君とあかねさん、句君、小鎌さん、天道先輩、シャンプーと一緒に食べる。
「私がジュリエットやるよ」
「シャンプーは配役違うから」
「いやね」
「切ちゃんは何の役なの?」
「ジュリエットの母親役かな」
「……まあ、確かに母親だわ」
天道先輩の質問に答えると何故か女性陣の視線は私に集まり、不思議に思いながらも「ふむ、ならば僕もロミオ役として手伝ってやろう」と九能先輩が言い出した。
「九能ちゃん、ロミオとジュリエットって何か分かっているのよね?」
「無論だ。ロミオとは…武士の名なり!」
「そーなのか?」
「違うわよ」
早乙女君はロミオとジュリエットを知らないのかな?と今どき珍しいこともあるとビックリしていると五寸釘君とお爺ちゃんがニヤリと笑みを浮かべた。
いつの間に来ていたのだろうか。
ちょっとだけビックリしたけど、おにぎりを二人に渡して大型水筒のお味噌汁も紙コップに注いで手渡す。みんなで食べるのが一番だからね。
「九能先輩、ロミオはキスするんだよ?」
「な、なにっ!?」
「九能ちゃん、本当に知らなかったの?」
「う、うむ、活劇演芸にその様な演目があるとは知らなんだ。だが、僕は既にキスの一つや二つ経験済み!何も臆する必要はない!」
「九能ちゃん、ジュリエット役はあかねよ」
「不誠実はいけない」
そのとおりだね。
浮気は悪い文化だと私は思うかな。
「九能先輩、オレもよく知らねえんだよ」
「ムッ。早乙女乱馬、貴様よもや知りもせずに役を演じるつもりか!?今晩我が九能家に来い!古今東西のロミオとジュリエットをシアタールームで鑑賞し、あかね君のために学ぶのだ!!」
「帯刀先輩、オレも行っていいか?」
「本城弟、良かろう!貴様も来い!」
男の子は男の子で盛り上がってるかな。
「あかね、私達も見て覚えるね」
「貴女は配役違うってば」
そう話し合いながら男女に分かれて燃え上がる演劇会を楽しみにしていると忍びの一人が手紙を差し出してきた。……成る程、今度の演劇会に来るんだ。
私も会っておきたかったんだよね。
「切ちゃん、また手紙?」
「天道先輩って糸益家って知ってる?」
「しやく?ああ、最近ニュースでやってた中小企業を纏めて呑んでいる企業でしょう。あんた、また妙な奴らに気に入られたわね」
私自身にそのつもりはなくてもお父さんが決めた許嫁の関係だから仕方ないと言えば仕方ない。けど、私は九能先輩と一緒に居たいのだ。