翌日、早乙女君は腹痛でお休みしていた。
しびれ薬と生焼け、謎の漢方薬の混ざったクッキーによってお腹を痛めてしまったそうだけど。句君は三人のクッキーを一つずつ貰っていたけど。
普通に過ごしている。
「オレの胃は頑丈だからな」
「お母さんの料理、すごいもんね」
「姉ちゃんは似なくて良かったぜ」
そう言いながら二人とも久しぶりに両親と会うために喫茶店に向かい、私は仕事人間のお父さんは来ないかなと諦め気味に本を開く。
一人で過ごすのは慣れているけど。
存外、私は寂しがり屋なのかな。
のんびりと過ぎる時間に本を閉じて、時計を見るという事を繰り返していると玄関のインターホンを押す音が聴こえ、リンゴーンと音が鳴る。
「どちら様ですか?」
「オレだ」
チェーンを掛けたままドアを開け、そう問いかけると目の前に
「上がる?」
「上がらせて貰おう」
リビングに案内し、椅子に座って貰っている間にキッチンで水を入れたポットを温めている間、いきなりやって来た理由を問いかける。
「許嫁解消の話を聞きにやって来た」
「私は賛成かな。好きな人いるし」
「糸逢、お前は覚えていないのか?」
「覚えていないって、何を?」
「オレとお前は前に会っているぞ」
「………残念だけど。幼なじみ作戦なら通じないよ、私は
「チッ。抜け目の無い女だな」
「嘘は吐いていないかな」
にっこりと微笑んであげる。
不満そうに顔を背ける糸益首にコーヒーを差し出す。インスタントも中々に美味しいと思うようになってきた。まあ、糸色妙様の影響だろうけど。
あの人より尊敬できるのは糸色景様だけ。
「それで、用件は何かな?」
「糸益家の嫁になってくれ」
「お断りします。そういうのは聞けない」
「……だろうな。だが、オレが必要としているのは事実だ。糸逢家の経済も最近は低下しているだろう?オレと結婚すれば回復でるぞ」
「ふぅん。脅して、私を使いたいのかな。糸益は一度も蛮竜に選ばれた事の無い分家だもんね、そこまでして蛮竜が欲しいの?」
私は、そう彼に問いかける。
「欲しいに決まっているだろう。長野県の糸色本家、北海道の糸色本家、どちらも高ランクの
「その理由は糸益家を興したしとり様の三男、つまり君の曾祖父が原因でしょう?」
「……我欲に駆られた人間の浅ましさだな」
本当に口が悪いわね。