翌日、私達の教室に転校生がやって来た。
「
フワリとお箸で簡単に切れる焼き加減、シャキシャキと瑞々しさを損なわず、野菜の旨味を取り込んだ生地。豚肉もカリカリと歯応えも良く、ソースの味もピリッと舌を刺激する香ばしさ。
これは以前にお父さんが糸逢家の屋敷に招いた日本お好み焼き協会の優勝者の味にそっくりですね。久遠寺もその名人と同じ名字だったと記憶している。
「こりゃあ美味いな。お好み焼きなら切ちゃん以上の腕かも知れん」
「句君、食べ物の味に優劣はないかな?」
「ヘッ。負け惜しみかいな?」
「私を挑発する前に、アッチじゃないの?」
そう言って私はお好み焼きを頬張りながら真剣に考え込んでいる早乙女君を指差し、句君に私の分のお好み焼きを食べて貰う。
流石に青のりをつけたまま九能先輩に会うのは恥ずかしいから、あとで歯磨きをしに行こう。けど、早乙女親子は本当に何をしたのだろうか。
そんなことを思っていると「放課後、校舎裏に来られたし」というソースのついた早乙女君の口の中に収まり、モグモグと彼は読まずに食べてしまった。
「ハッ!?思わず食っちまった!」
「乱馬、読まなきゃダメだぜ」
「食う前に読んでやれよ」
「う、うるせぇ!美味かったんだよ!」
お友達に文句を言われて悔しそうにする早乙女君に飛んでいるときに読んだ文字をノートに書いて渡してあげ、あかねさんとシャンプーに着いていってあげるように伝えて、私は眼鏡に出来た曇りを拭く。
「……なんで、みんな見るの?」
「いや、今更ながら凄い美人だから」
「そうそう糸色さん美人だからさ」
眼鏡をしていないから、ほとんど見えない。
まあ、激獣バット拳の基本技「響響拳」によるエコーロケーションによって、みんなの位置は分かっているけど。なんで、みんなドキドキしているんだろう?
不思議に思いながら教科書を取り出して、机の上に並べていると句君が「切ちゃんはそういうところは鈍いよな」と呟く。いや、九能先輩とお付き合いしているのに、他の人に現を抜かさないだけだよ?
「先生、みんなが仲良しなのは嬉しいけど。誰か久遠寺のこと迎えに行ってもらえるか?」
「私が行ってこようかな」
そう言って私は校舎裏に向かう。