「お好み焼きの鉄板をリングに変えたんだ」
「お前は昨日変な女!」
「クラスメートの糸色切だよ。壬生先生が授業するから教室に帰って来て欲しいんだってさ」
「悪いけど。ウチは復讐せなあかんねん」
早乙女君と早乙女玄馬の二人は一体彼女に何をしたんだろうと考えながらリングの支柱を用意する久遠寺さんを手伝いを、忍びも呼んで手伝う。
「な、なんやの?」
「理由は知らないけど。女の子がそこまで追い詰められるって事はかなり大変な事情があるって、そう思っただけだから気にしなくていいかな」
「……ありがとうな」
はにかみ笑う久遠寺さんは可愛く思う。
…………まさか許嫁とかないわよね?と思っていると忍び達のおかげで直ぐに設置の終わった特設リングに熱を込め、温め始める彼女は刷毛やソースを用意し、またしても神業の如くお好み焼きを仕上げる。
「手伝ってくれたお礼や。みんな食べて!」
「美味しいよ、みんな」
そう言うと忍び達はマスクを外し、お好み焼きを食べ始める。ただ、猫舌の人も居たらしくバタバタと地団駄を踏み、熱さに悶えている。
まあ、確かにすごく熱いかな。
「?焼きそばが入ってる」
「モダン焼きゆうや。美味しいやろ?」
「うん。新食感」
私の言葉に「なんやのそれ」と笑いながら久遠寺さんはお好み焼きを作り、慣らしを終えたプレートを掃除して、また加熱し始める。
しかし、こうも美味しいお好み焼きを作れるのに早乙女玄馬はなぜ久遠寺さんと会わないようにしているのか。あるいは、不義理な事をしたのなら私は久遠寺さん側につくかも知れないかな。
まあ、流石にあり得ないかな。
武人がそんなことするわけない。
「ねえ、久遠寺さんはどうして早乙女君を憎んでるのか聞いてもいいかな?」
「……アイツはウチを捨てたんや」
「捨てた」
「幼なじみやのに、連れてくって言うたくせに忘れくさりよってからにっ!!あのアホは一回シバいて焼き入れたらなあかんねん!」
「幼なじみだったの?」
そこは、ちょっと意外だ。
しかし、幼なじみを捨てたというのはダメだ。
私と九能先輩は幼なじみだったし、現在進行形でお付き合いをしている。そこだけは許せない。幼なじみを裏切るのはとても許せない。
「ウチ、どうしたらええんやろな」
「早乙女君を倒して真実を伝えるのは?」
「……せやな。そうよな、ウチが許嫁やってことも伝えて現抜かしとるバカ乱ちゃんに思い知らせたる!」
「許嫁?」
「せや。ウチ、乱ちゃんの許嫁やねん」
早乙女玄馬には、ちょっとお話が出来たかな。