放課後。
早乙女君と久遠寺さんの決闘の話題は全校生徒に広まっていたらしくお好み焼き屋の正装に着替えた彼女の待つ特設リングに早乙女君はやって来たけれど。
彼は久遠寺さんを思い出したようだ。
ただ、どうにも食い違い、すれ違いがある。
「とうとう二人の友情が壊れるッ」
「玄馬さん、私は事情聞いてるかな」
そう言うと早乙女玄馬はパンダになって顔を逸らして、あかねさんやシャンプー、私と彼の会話が聞こえていたクラスメート達の視線は集まる。
が、簡単に教えることは出来ない。
「モダン焼きか。美味そうだぜ」
「美味しかったよ」
「切ちゃん、食べたのか。ずるいぞ」
「あとで作って貰えると思うよ」
「そうか。楽しみだ」
句君はボンドやセメントの生地に、弾性強粘着ゴムそばで身体を固めて丸焼きにしようと早乙女君を襲う久遠寺さんに熱烈な食欲を向ける。
天道先輩に本気の告白をしているけど。句君はたまに食欲に負けて、そちらを見ている。それでいいのかと思ったりもするけど。
彼と彼女の問題だから割り込みはダメかな。
「悔いて焼けえやァ…!」
「説明しろってんだよぉ!!」
「んなあっ!?」
セメントとボンドで固まった拳に頭突きを放ち、外装を砕くと早乙女君は高温に熱されたプレートを殴り、力任せにリングをひしゃげさせる。
「乱馬のヤツ鉄板曲げたぞ!」
「格闘技の達人なのは伊達じゃないな!」
「乱馬くん、美味しそうだったのに!」
どよめきとざわめきが飛び交う最中、ゴムを引きちぎった早乙女君は靴底が焼けるのもお構い無しにプレートを踏み締め、右手を腰溜めに構える。
しかし、久遠寺さんは対面側のコーナーポストに乗って落ちることを回避しているし、なによりあんなに遠くに離れている相手に届く技があるの?
【あの構えはまさか!!】
「おじ様、知っているの?!」
あかねさんの言葉に早乙女玄馬はプラカードを入れ替える。私も他のみんなも早乙女玄馬の持っているプラカードに視線を集める。
【アレは、かつてアメリカで武者修行の旅をしていたとき、一度だけ使った事のある我が必殺拳の構え!】【乱馬よ、いつの間に必殺拳を体得したというのだ!!】
その必殺拳は、あの距離を打破するつもりなのかとみんなの意識は早乙女君に戻り、焦げるような臭いを放つ早乙女君は右手を腰溜めから大きく真後ろに右腕を振りかぶって風を引き込んだ。
「無差別格闘早乙女流奥義、霞返しッ!!」
火中天津甘栗拳の速度で放たれた掌打は強烈な突風を巻き起こし、特設リングのコーナーポストに乗っていた久遠寺さんを大きく後ろに向かって吹き飛ばした。
「私の天稟掌波にそっくりね!」
そう言って喜ぶシャンプーは早乙女君に飛び付こうとリングに向かうも早乙女君はリングの外に飛んでいった久遠寺さんを追いかけていく。