「待っていたぞ、早乙女乱馬!」
「よーっ、久しぶりだな。良牙」
授業を終えて部活動に向かうクラスで出来たお友達達と別れ、句君に夕御飯の買い物のお手伝いをお願いしながら帰ろうとしたその時、響君と早乙女君が邂逅しているのが見えた。
旧友との再会。
いわゆる青春という物なのだろうと感心する私の手を掴み、句君は「アイツの気配も中々だ。切ちゃんは女の子だから下がってた方がいい」と言ってくれた。
私のほうがまだ句君より強いけど、心配して貰えるのは嬉しいかな。そう笑みを浮かべていたとき、高速旋回して赤い番傘が開いて飛んでくる。
「晴れなのに傘が飛んでる」
「オレが叩き落とすか?」
「ううん、平気だよ。ほら」
グルグルと回る傘の柄を手の甲で受け、軽く上に弾き上げる。日用品を利用した格闘技なら無限流活殺術は定番だけど。響君は無限流を体得している感じはしないし、そういう使い方を学んだのかな?
そう思いながらも地面に突き刺さる番傘と響君を見比べ、ささっと句君の後ろに移動する。流石に、重すぎる武器は使えないし、持てないから無理だね。
「危ねえじゃねえか良牙!」
「うるさい!貴様のせいでオレは地獄を見たんだッ、必ずお前の幸せをぶち壊してやる!」
番傘を拾うと早々に走り去る彼の後ろ姿を見送りつつ、私は早乙女君に視線を向ける。懐かしの旧友との再会というわけではなさそうですね。
「アイツ、何なんだ?」
「乱馬、あんた何したのよ」
「いや、オレにもさっぱり」
「ほんとに?」
「おう!」
杞憂に終わるといいけど。
小鎌さんは九能先輩に話し合いがあるらしいから、帰ってくるのはもうちょっとだけ後だ。なんでも九能先輩の屋敷の武具庫に用事らしい。
「ああ、そうだ。糸色、お前さっきの手首で弾いた動きだけどよ。あれ、どうやるんだ?」
「どうやるって、力みの先を変えただけよ?」
「出たな。糸色家特有の見れば出来る体質」
「見れば出来る?!」
「句君、見れば出来るというのは流石に誇張です。観察して理合を理解しないと見様見真似だし。私にだって出来ないことはあるからね?」
そう言うと何故か句君に怪しまれる。
変な事を言ったつもりはなんだけどな。
私は苦笑を浮かべながら「句君は信じてくれないの?」と問えば「少なくとも糸色家の女はちょいワルに捕まりやすいのは知っている」と言われ、私は糸色家当主の糸色妙様(最近、糸色家の家督を無理やり弟君に譲ったそうです)を思い出す。
やっぱり、そういうのを気にするんですね。
ちょっとだけ残念です。