ちゅうちゅうとストローを刺した牛乳パックを飲む早乙女君の両端と前面を囲い、逃げ道を奪ったあかねさん達から少し離れたところに私と九能先輩は座り、句君は天道先輩にアプローチをしている。
小鎌さんはその天道先輩によって盾のように扱われている。さっき天道先輩が冗談めかして「お金持ちなら考えるわよ」と言った瞬間、アタッシュケースに詰め込まれた札束に私は正直に言えばドン引きした。
そして、天道先輩も句君がマジで自分を娶る気なんだと理解し、今更ながらに焦っているわけだ。
「金の亡者、天道なびきの最期がよもや金による束縛とは難儀な物だ。切君も欲しいものがある僕が買ってあげよう」
「良いの?」
「うむ、彼氏の甲斐性というものだ」
そう言うと早乙女君に目配せをする九能先輩に対して、早乙女君もなにか目配せをする。男の友情というものかな?と思いつつ、私は眼鏡を外して九能先輩を見上げる。
「じゃあ、また海に行きましょう」
「ヌッ…!」
「ぬ?」
ビシリと固まった九能先輩に小首を傾げる私にシャンプーが「
「……あれ以外だと胸が苦しいんだよ」
そうっと自分の胸を隠すと妬ましげに見られた。
みんなもスタイルだって良いのに、あのフライバックタイプの水着でよく苦しくないよね。私はもう着れないから羨ましいかな。
しかし、これだと私がスタイル自慢しているみたいに思えるから良くないかも知れない。
「切さん、少なくとも四人の女を敵に回したわよ」
「何言ってるか、私はスタイル良いね」
「早速裏切られたな、姉ちゃん。なびき先輩、オレと付き合おう。これでも仕事してるから不自由無く過ごせると思うぞ」
「句ちゃんはジョークが上手いわね。私が高々数千万で靡くと思ったかしら?最低でも10億円ぐらい用意してみなさい」
「言ったな?」
「えぇ、二言はないわ」
向こうは向こうで、何の戦いを?
そう不思議に思いながら、ふと考える。
小鎌さんに「本条家って世界各地で活動しているよね」と話し掛けると頷き、「えぇ、それもボディーガードとしてね」と答えてくれた。
「明後日までに用意してやる」
そう言い残して句君は屋上を出ていく。
「……ひょっとして、まずった?」
「なびき、私が言えるのはこれだけよ」
「何かしら」
「
「フッ、上等じゃない。絞り尽くしてやるわ!」
なんだか壮絶な戦いが始まりそう。