神谷活心流の剣技を多用し、
「成る程、俺に啖呵を切る強さはあるか」
「この九能帯刀、欺瞞は吐かん!」
「九能ちゃん、切ちゃんと再会する前までどっちかと言えば軟派な性格だったじゃない」
「そうなの?天道先輩」
「えぇ、あかねと乱馬君にね」
それは、知っているかな。
そう思っていた刹那、九能先輩の脇腹と頬を槍の穂先が掠め、タラリと赤い血が砂浜に落ちる。おそらく九能先輩は本物の刃物を相手にするのは初めてだ。
いきなり、アレを受けるのは至難だと思う。
「だだだだだだだだぁーーーーっ!!!」
────無限観音突き。
高速の突きを一瞬の内に数百発も繰り出す無限一刀流の奥義の一つ。私の目では追えない突きをまともに受けた男は真後ろに大きく吹き飛んだ。
いや、自分の意思で後ろに飛び退いた。
海の中に沈み、ごぽごぽと気泡が弾ける。
「海パンで良かったぜ」
「フン。自ら飛び退いておいてぬけぬけと」
そう告げる九能先輩の目は忌々しいものを見るように男の人を見据える。また、戦いが始まるのかと野次馬もゴクリと何かを飲む音が響く。
「ぬぇあっ!!!」
「ぜぇやっ!!」
槍の穂先を砕き、九能先輩の木刀が男の脳天を打った。勝利したと思ったその時、今度は九能先輩の身体が後ろに弾け、私の目の前で辛うじて踏み止まる。
「くっ、おのれ馬鹿力が!」
「参った。俺の敗けだ」
「何を言っている。まだ勝負はついていない!」
「落ち着かんか馬鹿者。武術を嗜むものならば理解できよう、無手の者と違い、武器を操るものは武器を失えば戦う術はない」
「ハッピーの癖に何を気取っている。しかし、その男の言うとおり、武器を無くした者は素手では戦わぬ。九能帯刀、今は達人を退け、守った事を誇れ」
そう言って九能先輩を褒めるお爺ちゃんとお婆ちゃんの言葉を聴きつつ、私は彼に『残り六人の許嫁』について聴いておきたかった。
「最期に聞かせて、貴方は?」
「元剣客兵器所属、戟號だ。名前は教えん」
剣客兵器。
北海道の糸色本家に仕える特異体質の組織。そのひとりが私の許嫁になっていた。やはり、私は「生け贄」とも言える立場なのでしょうね。
糸色妙様のように自分の意思で好きな人と結ばれたい。それなのにお父さんは何を考えて私に『六人の許嫁』を用意しているの?
一人目の