九能先輩に婚約指輪を貰って一週間ほど経った頃、県大会のために合宿に向かった九能先輩の事を思い出しながら私はあかねさん達に誘われ。
隣町の夏祭りに行こうという話になり、私と小鎌さんは浴衣に着替えている間に句君は黒い寛平に着替え、筋肉質な身体を惜し気もなくさらけ出している。
肉体美を誇るタイプだったかな?なんて考えつつ、帯を締めて既に準備を終えている二人を追い、マンションのドアを開けて鍵を閉める。
「友引町の夏祭りって何するのかな」
「普通に夜店じゃないか?」
そう話しながらバス停に移動し、意外と人の少ないバス内の後ろの席に座り、ガクンと身体の力が抜けて吐き気と気持ち悪さに耐えつつ、酔い止め薬を飲む。
「ゔっ、ゔぅ…」
「天下無敵の糸色も乗り物にはよゔぁい゛」
「姉ちゃんもじゃん」
まだ夏祭りの会場にもたどり着いていないのに、すでに気持ち悪さでフラフラとする私達の間に座る句君の身体にもたれ掛かる。
「ふ、ふゔぇっ、無駄に大きい身体の使い道ね」
「お?なんだ」
「ちょっ、やぶぇっ、ん゛ーーーっ!!!」
「いつもの仕返しだな」
ひ、卑劣すぎる。
そう私は肩を揺すられて気持ち悪さに苦しむ実姉の顔を覗き込んでいる句君の悪辣な態度に怒りたくなるものの、乙女の尊厳を守るだけで精一杯だ。
そんなこんなと日頃の恨み(部屋の掃除や筋トレ時間の短縮など)を返す句君と、それを受ける小鎌さんのやり取りを見ていたとき、友引町の神社近くにバスは停車し、お金を払ってバスの外に出る。
「……ッ、まだ気持ち悪いかな」
「こんの愚弟ッ、危ないでしょうが!!」
「鎌は流石に危ないだろ」
二本の鎌を振るって怒る小鎌さんから逃げているために神社の石階段を駆け上がる句君を見上げているとき、ふと視線を感じてそちらを見ると紺色の浴衣を着た男の子が私を血走った目で凝視していた。
彼が『残り四人の許嫁』かと思ったけど。
なんだか雰囲気が違う。
こう、身の危険を感じる…!
「ねえねえ、眼鏡のお姉さん!どこ住み?可愛いね、名前は何て言うの?メルアドは?」
「ひゃあっ!?」
瞬きした刹那、私の鼻先にぶつかる距離まで詰め寄ってきた男の子にビックリした瞬間、彼の頭上に緑色の髪の中に小さな角が二本生えた女の子が飛んでいた。
「ダーリン、浮気は許さないっちゃあ!!」
「あたるくん、どういうこと!?」
「どひゃあああああああああああっ!!?」
雷撃とビンタを受け、逃げる男の子。
「……なんなの、あれ?」
「何とも『
「壬生先生?ああ、奥さんもこんばんはです」
「僕達も夏祭りに来ただけだよ。それと三人目の『特異点』は神社の境内で待っているそうだよ」
それって、どういう?