先の決闘より幾日経ち、傷も癒えた
本日、風林館高校グラウンドにて
貴女との婚姻を賭け、決闘を望む
追伸
九能帯刀殿を立会人に推薦されたし
糸益首
「切さん、何を読んでいるの?」
「えーっと、果たし状かな?」
そう言って私はあかねさんとシャンプーに手紙を差し出すと「ずいぶんと達筆ね」「私ならまどろっこしいことせず、そのまま殴るある」と素直で率直な意見を貰い、早乙女君が覗き込もうとするので手紙を差し出す。
「立会人を九能先輩に?」
「私を降して娶る瞬間を見せつけたいんじゃない?」
「卑劣な男だわ」
「見損なったぜ、あの野郎」
私の事を応援する団体を作り、決闘を見守るという話題で盛り上がるクラスメート達にクスクスと笑ってしまう。みんな、私の薬指の指輪の理由を聞き、我が事のように喜んでくれた。
みんな、とても優しいお友達だ。
「しかし、この糸益首って野郎は糸色の許嫁候補から外されたヤツなんだよな。なんでまたお前に絡みに来てるんだ?句は何か知ってるか?」
ムースの持ってきたラーメンをズルズルと啜っている句君に早乙女君がそう問い掛けると句君はいきなりスープまで一気に飲み干した。
「御馳走様。あー、切ちゃんを狙う理由だよな」
そう句君が呟くとクラスのみんなは頷いた。
「先ず、切ちゃんは元糸色家当主で今はご意見番の曾孫に当たるんだ。現当主の糸色妙は既に結婚しているし、その実弟の
「家宝?」
「大鉾だよ、2メートルを越える」
「重たそうね」
「いや、重さは関係ない。糸色妙は腕力で言えばオレより弱いが、クジラを殴り飛ばしたり飛行機をぶん投げたって逸話もある」
「フフ、誇張なしの事実だからね♪︎」
そう言うとみんなは戦慄した。
多分、ものすごく筋肉質な人を想像しているんだろうけど。どちらかと言えば妙様はスポーツを楽しみ、芸術にも秀でた文武両道を極めた達人だ。
武人の位階で言えば「超人」に分類できるかな。
「で、切ちゃんを狙う理由だったな」
話を戻す句君は口を開けた。
「何十人と居る当主候補の中で切ちゃんの強さは八位だが、切ちゃんは血筋的に本家の直系であり、本家分家を含めて正装を仕立てる役目を持つ家系だ」
「そういうことあるか。
「「「ああ、そういう?」」」
「要は一族の癌潰しだな」
「有り体に言えば『生け贄』だね」
まあ、予想はしていたかな。
「じゃあ、句と小鎌先輩は?」
「本条家は糸色家を守護する家系の一つだ。ちなみにクラスメートに化けているのが何人かいるぞ」
「句君、そういうのは言っちゃダメかな」
お仕事の邪魔はダメなことだよ。