新年を迎えての雪を楽しみつつ、肌寒さに教室でもコートを着ているとクラスメート達の会話が聞こえてきた。何でもハワイに研修に向かっていたという風林館高校の校長先生が帰ってくるらしい。
風林館高校の校長先生と言えば九能先輩と小太刀さんの実父であり、私のお父さんと同じく元風林館高校の卒業生だと聴いている。
私のお母さんも風林館高校の卒業生だそうだけど。イマイチ信憑性に欠けるところもある。ただ、お母さんはお嫁さんとして糸逢家に入っている人だ。
ひょっとしたら隠し事もあるんだろう。
「で、早乙女君はどうしたの?」
「うるせぇ…あの校長に聴けよ」
「乱馬ったら癇癪玉を近くで受けたの」
「ああ、だから煤けて……」
ちょっと哀れみの視線を向けつつ、シャンプーや右京さんも自分の髪の毛を手入れしている。何かあったのかと思えば「全校集会を行います。みんな、怪我しないように移動するように」と壬生先生が私達に告げる。
なにかイヤな予感を感じながら列を乱さず、体育館に向かうと三年生と二年生も既に集まっている。魔女先輩はもうすぐ卒業式だ。
あとで話しに行こうかな。
そう思いながらスカートの裾を押さえて、冷たい体育館の床に座り、ヤシの木を模したちょん髷を生やした褐色肌の男の人が壇上に立っている。
…………私の記憶だと肌は白かったけどな。
「私こと風林館高校の校長から全校生徒のみなさんにビッグなプレゼントを用意していまーす!まずは列順に受け取ってくださぁーい!」
其々の学年と担当教師が列の前に立ち、大きなサンタクロースが持っているような袋を持って立っているのが見えた。
「ハワイのプレゼントか?」「そうじゃない?」
「太っ腹だなー」「お菓子かな?」「先生なんだから文房具とかじゃないの?」
ワイワイと騒がしくなる体育館。
名前順なので、すぐにプレゼントを貰ったけれど。異様な気配を感じて、私は句君の方にプレゼントを投げ渡し、校長先生がみんなを見ている事に気づく。
「続いて、新しい訓示を発表しまあす!」
断幕に描かれたのはおかっぱと坊主頭の男女。
「風紀を引き締めるため、みなさんにはヘアスタイルを変えてもらいまぁーす!!」
どよっ、と戦慄が走った。
続けざまにみんなの無言の抗議としての投擲が始まり、私はプレゼントには触らずにいた事を安堵し、あまり無理やり髪型を変える場合はお父さんに相談しようと、こっそりと思う。
「Stay!Stay!まだ話しは終わっていないですよ!この校則を撤廃したくば、私のプレゼントしたものを使うのでぇす!!」
その言葉に、みんながプレゼントの包みを破った瞬間、私は魔女先輩が動くところを目撃し、槍を床に突き刺して二階に飛び移った。
「あら、切ちゃんも来たのね」
「魔女先輩、これって」
「ちょっとしたレクリエーションかしらね」
みんなは何処へ?と考えていると、ふと体育館の真ん中に箱庭が出来ていた。
「ウフフ、桃果人の箱庭ね」
とうかじん?
じゃあ、あの中にみんながいる?