傷だらけの早乙女君の手当てを終えたシャンプーと右京さんも今回の事件の元凶たる八宝斎のお爺ちゃんを睨み付ける。早乙女君を巡る恋のライバルとはいえ、三人は親友とも言える間柄だ。
親友を心配するのは当然と言えるかな。
「……奴らの名は
「凡そ90年前、寝崑崙でお主がまた悪さをしたと聞き及んでおったが、あ奴らが関わっておるのか」
「左様。コロンちゃんの言うとおり、ワシがあの巻き物を奪い、あの子の母か祖母に預けておいたんじゃが。どうも三世代の内に内容が変わっておったな」
「あの王子がどうたらってヤツか」
お爺ちゃんとお婆ちゃんの話しに早乙女君が切り込み、私は象に乗って宝船を追いかけていく彼女の事を思い出す。確かライチと名乗っていたかな。
しかし、問題はどうやって寝崑崙へ行くか。
「切君には酷かも知れんが、糸色家の自家用機を借り受けることは出来るだろうか?」
「乗り物酔いぐらい耐えるよ。友達のためだ」
そう言って私は天道家の電話を借りて、本家の人間だけに伝わる緊急事態用の番号を入力し、二秒と掛からずに電話は繋がる。
「もっ、もしもし、糸逢家の切です」
『ハハハ、そう固くならなくて良いわよ。私に繋がる電話を使ったって事は糸色家の危機か、どうしても曲げられない事態かしら?』
「……親友を助けに寝崑崙に行きます。飛行機か船をお借りしたいんです」
『良いわよ』
「あ、ありがとうございます!」
『えぇ、気を付けて行ってらっしゃい。それから一つだけ、切さんにアドバイスを贈るわね。もしも負けそうになったら、絶対の自信を持って自分の名前を宣言してみなさい。───だって、私は糸色妙だものってね』
「……フフ、そうします」
そう言って貰えたことを嬉しく思いつつ、空港に用意してくれたという飛行機を求めて、私達は空港に向かおうとしたその時、象の雄叫びが聴こえてきた。
ライチさん、だったかな?が私達の会話を聴いていたらしく真剣な眼差しで見つめてきた。まあ、飛行機だから乗り込める人は大丈夫だけど。
「早雲さん、良いかな?」
「なに、構わないさ。それよりも急いでくれ!」
忙しなく動き出したみんなに呆れながら、連れ去られたあかねさんの無事を祈ることしか出来ない。絶対に早乙女君達と助けるから、無事でいてほしい。