「自家用機って、ヘリかよ」
ゴウゴウと空気を切り裂く輸送機のプラペラ音を聴きつつ、私は乗り物酔いを軽減する酔い止め薬を飲み、静かに横になっている。
余計な行為をしないように、シャンプーや右京さん、小鎌さん、天道先輩やかすみさんが私の傍に座って看病してくれているものの、この身体は重く苦しい。
「切様、目標の宝船を捕捉しました」
「っぷゔ、…真上に、行ってちょうだい…」
吐き気を我慢しながら操縦席に腰掛ける迅雷義塾の卒業生であり、私の近辺警備を請け負っている霞一族の男の人の言葉に答えつつ、みんなに「船から落とされたら使って」と小型のパラシュートを渡していき、右脇のトリガーを引くように伝える。
「お父さん、気をつけてね」
「かすみ、なびき、直ぐに帰ってくるぞ!」
そう言うと同時に後部のハッチを開き、一人ずつ飛び降りていき、九能先輩も続いていく。
「ライチさん、行くわよ」
「えぇっ、待っててね。王子さま!」
私達とは異なる目的だけど。
象を連れてヘリを飛び下り、ズンッ!!と宝船を傾けるほど強烈な震動を起こし、慌てて飛び出してきた八福道人を睨み付ける。
酔い止め薬のおかげで、まだ大丈夫だ。
「チッ。もう追い付いたか。麒麟様に近付ける前にソイツらを海に叩き落とせ!眼鏡の女……イトシキだったな?お前の相手は俺がしてやる」
「糸色景様が言っていたけど。人のものを盗む奴は、もっと大事なものを無くす。早乙女君の大事な許嫁を盗むヤツは私も許せないかな!」
「ばっ!?そんなんじゃねえやい!」
私の言葉にいち速く反応した早乙女君に双子の八福道人……八福道人よね?と思いながら金棒を振りかざしてきた猩々に槍を突き立て、穂先をねじって変幻自在の突きを繰り出し、顔を突き刺して後ろに退ける。
「カカカッ、真剣白
「なッ、つあぁ!?」
グンと身体をのけ反るだけで私の身体が浮き上がった刹那、間合いを詰めるように句君と小鎌さんの二人が猩々の身体を鎌と分銅で攻撃する。
────けれど。その攻撃を見ずに受け止めた。
「ウソ、硬功夫!?」
「姉ちゃん!」
無造作に振るわれた金棒が小鎌さんを庇った句君を殴り潰し、慌てて防御の構えを取った小鎌さんを殴り倒して、猩々は槍の柄に絡み付く私を見上げる。
「ペッ……闘龍極意書を返せよ」
「そんなに大事なのかしら?」
そう問いかけると猩々は押し黙る。
早乙女君達も善戦しているけど。あの巨漢に殴打や武器は効いていない。おそらく筋肉の弾性を極限まで高めるために、敢えてあの体型を維持している。
かなり、これは辛いかな。