「早乙女君!」
「任せろ!」
あかねさんに会えずに船から落ちることを避けるため、如意棍槍と手槍を船の側面に突き刺し、句君の鎖分銅で足場を作って、私達は海に落ちていく。
ライチさんと象も私の槍に掴まっている。
折れないかな、大丈夫かな。
「句、私泳げないんだけど!?」
「姉ちゃん、まだ泳げねえのかよ」
「鮫はいやー!」
上半身裸の句君に抱き付いて悲鳴を上げる小鎌さんの近くに寄り、みんなの手を掴んで、私は全身に駆け巡る
「こ、この技は飛翔拳!?」
「糸色殿、お主まさか獣拳バット拳を!?」
「一応、使えるかな」
お爺ちゃんとお婆ちゃんの驚嘆の言葉に答えたものの。あくまで私の学んだ獣拳スネーク拳であり、この技もスネーク拳の分派クリソペレア拳の飛翔拳だ。
クリソペレアは飛び蛇の事ね?
「九能先輩、鞄の中に小型の無線機があるから」
「し、失礼する…!」
みんなの身体をよじ登ってきた九能先輩は私の背負っていた鞄の留め金を外し、無線機のスイッチを押して輸送機の霞一族の彼に連絡を送る。
「ヌウッ、このままでは救援が来る前に海に落ちてしまうのう。切ちゃんや、お主は泳げるか?」
「私は泳げるかな。けど、シャンプーやムース、玄馬さんは水に濡れたら動物になるよ?」
「なんね。良牙、
「オラは良くないと思うぞ」
「だ、黙っとれ!」
響君を責めるシャンプーとムースに小首を傾げながら、早乙女玄馬と天道早雲の二人が海面を素早く蹴り、二度目の滑空を開始する。
このまま無理をすれば辿り着けるかな。
そう思いながらも激気を集中させていた刹那、懐かしい気配を感じて海面を見る。大きな影。あれは紛れもなく海に住まう生き物─────。
「さ、さめっ!!」
「姉ちゃん……」
カクリと気を失った小鎌さんの事を鎖で縛り、抱き寄せる句君の優しさにクスクスと笑いながら、背鰭を出して近付いてくる鮫を見据える。
「ぶん殴る」「フカヒレじゃあ」「三枚卸しね」
「みんな無闇に攻撃するのはダメかな」
そう言って激気を強めると海面は膨れ上がり、ザバァ…!と飛び出してきたのは鮫の頭と身体を持った
「シャッキーン!」
「お久し振りです。
「うん!久しぶり、泳いでたら激気を感じて急いでやって来たんだけど。なにかあったのかい?」
「陸地を目指しているんです、獣拳の拳聖たるシャッキー・チェン様には悪いとは思うにですが。案内をしてもらえますか?」
「お安いご用だよ!」
彼は早乙女玄馬と天道早雲の足を摘まむと全速力で泳ぎ始めた。やはり、バット・リー様も私の事を何処かで見守っているかな。