先に行ったみんなが倒してくれたのか。
関所には八福道人が倒れ伏しており、私はそんな彼らを避けて塔を目指していたとき、最後の関所を抜けると塔の門が見事に粉々に粉砕されていた。
闘龍極意書。猩々の狙っていたコレのこともまだ聴いていないけど。八福道人の長が欲しがっていたあの半分に割けた巻き物も気になる。
そんなことを考えながら階段を登っていたとき、早乙女君の気弾が真下に向かって吹き荒れ、凄まじい地響きと共に温泉が間欠泉のごとく噴き上げる。
「ウフフ、すごいわね」
「えぇ、すごいわね」
「ひゃんっ!?」
ぬるりと壁からパラソルを片手に現れた存在にビックリして、恥ずかしい声を上げてしまった。恥ずかしい。そう顔を赤らめながら、私は魔女先輩と乙津さんを見る。
「なんで、いるの?」
「ウ~ン。お茶会の帰り的な?」
「大陸妖怪の意地汚さを観察してただけよ」
バリアを張っている乙津さんが魔女先輩の肩に触れ、のんびりと浮遊していき、なんとも不思議な気持ちになりながら私も最上階に到着した。
ちょうど、早乙女君とキリンの戦いだ。
「来たか、切君」
「遅くなって、ごめんね」
九能先輩達に遅れたことを謝りつつ、早乙女君の火中天津甘栗拳を受け止める箸捌きに思わず感心してしまう。宮本武蔵もハエをお箸で捕まえたという逸話もあるし。おそらく極まった動体視力と身のこなしを持っている。
「ちと不味いのう。乱馬のヤツはもう火中天津甘栗拳を越え得る技は持っとらん。玄馬、お主の〝千拳〟は教えておらんのか?」
「はっ。あの技は早乙女流の禁じ手と定めております故、乱馬に教えるときは……」
「早乙女君、君はそこまで…」
そう早乙女玄馬は、言葉を区切る。
早乙女君に教えるときは、自分の死ぬとき…かな。お爺ちゃんも知っている技みたいだけど。かなり危険な技と思った方が良いかな。
「
「ぬおおあああっ!!?」
受け手に専念していたキリンの動きが変わり、数百発の乱打を受け止める箸捌きは、食事を掻き混ぜる動きに変化し、螺旋を描いて早乙女君は温泉に叩き落とされ、ふらつき、血を吐いて早乙女君は立ち上がった。
「乱馬、もうやめて!このまま戦ったらアンタ本当に死んじゃうわよ!」
「うるっせぇ…!お前は大人しく待ってろッ。コイツをブッ倒したら迎えに行ってやる!」
「笑止!余の拳を見切ることも出来ぬお前にあかねをくれてやるつもりは微塵もない!」
「……さっきから聴いてりゃあ、あかねあかねってベラベラと気安く呼びやがっていい加減にしろよ。あかねはオレの許嫁だ!テメェなんぞっ、
その告白めいた宣言に顔が熱くなる。