「……漬け物の秘伝書」
早乙女君が
宝船に刺さっていた如意棍槍も飛竜昇天破の影響で手元に戻ってきたものの。なんだか凄く疲れた上、人を生け贄に捧げるという話しは勘違いだったらしい。
【お師匠様、どういうことだ!?】
「玄馬、お主は黙っとれぇい!」
プラカードだから筆談かな、お爺ちゃん。
そう思いながら温水の中に沈んでいる句君を大鎖鎌で引っ張り上げる小鎌さんに視線を移し、私も下着の透けない服を着ておけば良かったと悩む。
まあ、九能先輩の胴着を借りているおかげで問題ないかと意識を切り替えた刹那、地響きを起こして変な生き物が現れた。
「……象と、なに?」
「ドラゴンか、カッコいいぜ」
「どら、ごん?」
ものすごく大きな頭をした生き物に困惑しつつ、苔むしたドラゴンは目を閉じて、また温水の中に沈み、なにも起こらなかった。
一体、なにがしたかったのかしら?
不思議に思いつつも私は湿ったスカートを絞り、どうやって帰ろうかと話し合う大人達を見る。
「切君、無事に終わりそうか?」
「無事に終わるんじゃないかな?」
私の言葉に少しだけ悔しそうに木刀を握り締める九能先輩の気持ちは分かる。早乙女君の使った飛竜昇天破は私の切り札と奥の手を遥かに上回っている。
九能先輩の奥義も龍の名前を冠するけど。
普通の人間に竜巻を作り出す力は無い。それだけ早乙女君の潜在力は高く、あのお爺ちゃんとお婆ちゃんが焦るほど凄まじい必殺技を使えるわけだ。
「飛竜昇天破、か……」
木刀で竜巻を起こすなど出来るのかな。
「全く乱馬め、余計な技を出しおって」
「ワシに受けた傷が疼くか、ハッピー」
「……知らん!あかねちゅわあぁん!」
ぷいっと顔を叛けたお爺ちゃんは直ぐにまたエッチなことが好きなお爺ちゃんに戻り、早乙女君に蹴り飛ばされていた。
しかし、本当にどうやって帰ろうかな。
「電話もないもんなあ」
「句、あんた泳いで日本まで行きなさい」
「姉ちゃん、無茶すぎるぜ」
向こうも向こうで大変そうだな。
いや、これから大変になるのかな。
「いや、そういうのもあるか」
「どうした、切君」
「もうお父さんに頼もうかなって」
そう言うと句君と小鎌さんの二人が真剣な顔付きになり、鎌と分銅を弄り始める。これは、あれだね。ものすごく怒っていると考えるべきかな。
お父さん、ふたりに何かしたのかな?